TAMA音楽フォーラム

若手演奏家育成とクラシック音楽の振興を目指します

活動履歴2014

セミナーの内容

「 ニューイヤーコンサート〜ヴァイオリン音楽の魅力〜 」

 
 
   セミナー形態: コンサート
 
講師:アレキサンダー・シトコヴェツキー(Vn)  
共演:三浦友理枝
 
 
 
プログラム
・E. Grieg Violin Sonata No.3 
グリーグ:ヴァイオリンソナタ 第3番
 
・L. Desyatnikov " Wie der Alte Leiermann"
デシャトニコフ:“年寄りの手回しオルガン弾きのように”
 
・S. Prokofiev Violin Sonata No.1
プロコフィエフ:ヴァイオリンソナタ第1番
 
・M.Ravel  Tzigane 
ラヴェル:ツィガーヌ
 
 
 

~高野耀子ピアノリサイタル~

 
スカルラッティ ソナタ
シューマン 子供の情景
メンデルスゾーン 厳格なる変奏曲
ドビュッシー ベルガマスク組曲 他
 
高野耀子(こうの ようこ)
 
1931年、高野三三男画伯の娘としてパリ モンパルナスに生まれる。4歳からピアノを始め、7歳でマグダ・タリアフェロに習う。1940年、日本へ帰国。ピアノを安川加寿子に師事。1946年、15歳の時、最年少で東京音楽学校(現、東京藝術大学)に入学。3年の時に中退してパリに戻り、コンセルヴァトワール(現、国立高等音楽院)に入り、ピアノをリュセット・デカーブ、室内楽をジョセフ・ベンヴェヌーティに学ぶ。19歳でコンセルヴァトワールをプリミエ・プリで卒業。翌年、同音楽院室内楽部を卒業。 その後3年間、ドイツのデトモルト音楽院でハンス・リヒター・ハーザーに師事。1954年、イタリアのヴィオッティ国際音楽コンクールのピアノ部門で満場一致で優勝。これは、日本人として初めての国際コンクールでの優勝である。以後、年間5~60回の演奏会をこなし、パリ、ロンドン、ベルリン、ローマ、ミラノ、ブダペスト等ヨーロッパ主要都市を中心に演奏活動を展開する。共演したオーケストラはロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ミラノ・スカラ座管弦f楽団、ヴェネツィア・フェニーチェ劇場管弦楽団、ミケランジェリ・ピアノフェスティヴァル・オーケストラをはじめ多岐にわたる。1965年より4年間、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの薫陶を受ける。1979年より、東京に在住。以降、東京を中心に各地でリサイタルを開催している。
 

「 ドヴォルザークのヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 」

セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 講師:    エドヴァルド・ダネル(Vn)  
共演:    日下 知奈 (Pf)
 
ドヴォルザーク:ピアノとヴァイオリンのためのソナチネ 作品100
 
セミナー受講生:

  1. 糸原彩香(Vn) 佐伯麻友(Pf)
  2. 芝田愛子(Vn) 大室晃子(Pf)

 
 
受講曲: ドヴォルザーク:ピアノとヴァイオリンのためのソナチネ 作品100
 
応募締切: 2月1日(土)
 
 
エヴァルド・ダネル
 
ヴァイオリンと指揮をオストラヴァ(チェコ)の音楽院とブラティスラヴァ(スロヴァキア)の芸術院で学び、ボーダン・ヴァルチャル教授の下で博士号を修めた。また、ウィーン音楽大学では、カール・エーステライヒャー教授に指揮法を学んだ。
在学中より、スロヴァキア放送交響楽団、スロヴァキア国立歌劇場にコンサートマスターとして出演。1985年から2000年までスロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めるとともに、ソリストとしても共演を重ねる。
1995年には同楽団に指揮者としてデヴュー。当時よりスロヴァキアの作曲家による作品の初演を行い世界に紹介している。
1997・98年には、サン・パウロ市交響楽団に客演コンサートマスターとして出演。2001年からスロヴァキア室内管弦楽団の芸術監督を務めている。
広島交響楽団とは1998年より指揮者、ソリストとして長年に亘り共演を重ねている。
  室内楽の分野でも優れた活動をしており、スロヴァキア・カルテットの第1ヴァイオリン奏者、スロヴァキア・ピアノトリオのメンバーとしても活躍。
1992年から1996年までブラティスラヴァの室内オーケストラ、カペラ・イストロポリターナの芸術監督を務め、ブラティスラヴァ・チェンバー・ソロイスツ、東京ハルモニア室内オーケストラ、など多くのアンサンブルと共演している。
  ヨーロッパをはじめ日本、韓国、エジプト、チュニジア、パナマ、ブラジル、アメリカなど多くの国で精力的に活動を行い、好評を博している。
  指導者としては、1987年から1998年までブラティスラヴァ音楽院で、1999年から2003年までは愛知県立芸術大学の客員教授を務めるなど、後進の育成にも熱心に取り組んでいる。
1994年1月から3月まで広響コンサートマスターを務める。その後も室内楽の弾き振りを中心に共演し、広響の、特に弦の 実力を大いに高めた。
2008年5月、広響首席客演指揮者就任。
  

「 モーツァルトとウィーン 」

セミナー形態: レクチャー & コンサート
講師:    深澤 亮子(Pf)  
モーツァルト ソナタ  ハ長調 K330、イ長調 K331 (トルコ行進曲付き)他
 

「若手弦楽四重奏団のための合宿セミナー」 

雄大な八ヶ岳の麓、小淵沢のリゾナーレにおいて、我が国室内楽界の第一線で活躍する経験豊かな演奏家達を講師陣に迎え、若手弦楽四重奏団を対象とした室内楽合宿セミナーを行います。
成果発表としての「リゾナーレ音楽の森ホール」におけるフレッシュコンサートを以って終了します。
 
 講 師
岡山 潔(Vn)東京藝術大学名誉教授 
服部 芳子(Vn)愛知県立芸術大学名誉教授
山口 裕之(Vn)東京音楽大学客員教授、桐朋学園大学講 
川崎 和憲(Va)東京藝術大学教授、国立音楽大学客員教 
山崎伸子(Vc)東京藝術大学教授 
河野文昭(Vc)東京藝術大学教授
 

  • 会場

o   星野リゾート リゾナーレ  山梨県北杜市小淵沢町129-1 Tel:(0551)36-5111

  • 参加費用

o   受講料 無料、聴講自由(無料)
o   宿泊(リゾナーレ)と、交通費は参加者本人の負担

  • 受講申込

o   とグループの最近の演奏(スタンダードな弦楽四重奏曲の第1楽章を、MD/CDのいずれかに録音したもの)をTAMA音楽フォーラムへ送付すること。(既に同じメンバーでセミナーに参加しているグループは申込書のみでよい)
o   申し込み期間は2014年2月1日〜2月28日(締め切り日)まで
o   選考結果は3月初旬に書面にて通知します。
o   約6組の受講カルテットを公募します。

  • 受講曲目

o   参加グループの希望曲

  • 最優秀賞、奨励賞

o   当セミナーにおいて、特に優秀な成績を修め、今後の発展が期待されるグループに「リゾナーレ室内楽セミナー最優秀賞」または「奨励賞」(総額100万円)を贈呈します。
優秀賞
 
Cocotte弦楽四重奏団
Vn 平光真彌、久米浩介 Va 新谷歌 Vc 荒井結子
 
Quartette Soleil
Vn 平野悦子、東山加奈子 Va 高橋梓 Vc 太田陽子
 
奨励賞
Lemoned Quartet
Vn 倉富亮太、大倉礼加 Va 戸原直 Vc 広田勇樹
 
 
 
 
主催 NPO法人TAMA音楽フォーラム
後援 リゾナーレ  協賛 「基金緑の風」
 

「 シューベルトの弦楽四重奏曲 」

セミナー形態:  公開レッスン & コンサート
講師:    ライプツィヒ弦楽四重奏団

  • シュテファン・アルツベルガー(Vn)
  • ティルマン・ビューニング(Vn)
  • イヴォ・バウアー(Va)
  • マティアス・モースドルフ(Vc)

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 op.18-3 ニ長調
シューベルト:弦楽四重奏曲 D804「ロザムンデ」
 
受講曲: シューベルトの弦楽四重奏曲 イ短調「ロザムンデ」または、ニ短調「死と乙女」、「断章」D703
 
応募締切: 4月26日(土)
 
受講生:Quartett Humoreske
シューベルト:弦楽四重奏曲D703「断章」
 
 

「 ブラームスのチェロとピアノのためのソナタ第2番 」

セミナー形態:  公開レッスン & コンサート
講師:    Ishizaka Danjulo (Vc)
共演者:   鈴木慎崇(pf)
ブラームス:チェロとピアノのためのソナタ第2番 他
 
受講曲: ブラームスのチェロソナタ第1番または、第2番
 
受講生: 
 
佐藤晴真 Vc 東京芸術大学付属高等学校2年
加藤美季 Pf 東京芸術大学音楽学部2年
 
稲本有彩 Vc 東京芸術大学音楽学部3年
町田美弥子Pf 東京芸術大学音楽学部弦楽科非常勤講師
 

「 シューマンのピアノ四重奏曲 op.47」

 
 
   セミナー形態:  レクチャー & コンサート
 
   講師:   藤本 一子 (音楽学)
   演奏: 阪田知樹(pf) 倉冨亮太(vn) 戸原直(va) 伊東裕(vc)
・R.シューマン ピアノ四重奏曲 ハ短調Oeuv.V(Anh.E1)第4楽章
(1828/29年作曲)
 
・R.シューマン ピアノ四重奏曲 変ホ長調Op.47 全楽章
(1842年作曲)
 
 

「 ラヴェルのヴァイオリンとピアノのためのソナタ(1927) 」

セミナー形態:  公開レッスン & コンサート
 
   講師:    野平 一郎 (Pf)
   共演:    秋本悠希(メゾソプラノ)
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
ラヴェル:メゾソプラノのためのシェエラザード 他
 
受講曲: ラヴェル :ヴァイオリンとピアノのためのソナタ (1927)
 
1.藤田尚子(Vn) 桐朋学園大学音楽学部卒業
清水 史 (Pf) 桐朋学園大学音楽学部研究科在学中
 
2.巌崎友美 (Vn) 英国王立音楽大学卒業
  森田ひかり(Pf) 東京学芸大学芸術文化課程卒業
 
3.山本美樹子(Vn) 東京芸術大学音楽学部室内楽科講師
  岩下真麻 (Pf) 東京芸術大学卒業後、同大学別科在学中 
 

「 J.S.Bach 6つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ 〜その1 」

セミナー形態:  公開レッスン & コンサート
 
   講師:    小林 道夫 (Pf)
   共演:    桐山 健志(Vn)
 
J.S.Bach:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番BWV1014
     ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第3番BWV1016
受講曲: J.S.バッハ 6つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ より
           第3番 BWV1016
 
受講生:   
田中李々(ヴァイオリン)
 東京藝術大学音楽学部卒業、現在同大学院2年在学中。
伊藤順一(ピアノ)
 東京藝術大学音楽学部入学、パリ・エコールノルマル音楽院卒業、現在、フランス国立パリ音楽院 伴奏科に在学。
 

「 フランス音楽の楽しみ 」

セミナー形態:  レクチャー & コンサート
  講師:   青柳 いづみこ (Pf)、クリストフ・ジョヴァニネッティ(Vn)
 
ピエルネ 『ヴァイオリン・ソナタ』
ドビュッシー=ハルトマン 『ミンストレル』
ドビュッシー=ロケ 『レントより遅く』
ドビュッシー=オーレッジ 『セレナーデ』
ドビュッシー 『ヴァイオリン・ソナタ』 
 
*青柳いづみことクリストフ・ジョヴァニネッティのデュオ
 
青柳いづみことクリストフ・ジョヴァニネッティは、マルセイユ音楽院でピエール・
バルビゼのもとで学んでいたころから共に演奏していた。ヴァイオリニストのクリス
ティアン・フェラスとのデュオ、フェラス‐バルビゼで知られるこの偉大なピアニス
トは、何年かにわたってアンサンブルの奥義を彼らに授けた。
しかし、それぞれ独立したキャリアを築いてきた青柳いづみことクリストフ・ジョヴ
ァニネッティが定期的なデュオを組むことを決意したのは、ずっとのちの2009年の
ことである。以降、フランスと日本で多くのコンサートに出演している。2013年には
デュオ・アルバム『ミンストレル』(キングインターナショナル)をリリース。
「まだ本格的にデュオを組んでから日が浅いというのに、まるで熟成された往年の
名デュオのような香り高い演奏に驚いた」(浜離宮朝日ホールでのコンサート評より
「音楽の友」2011年11月号)
 
*クリストフ・ジョヴァニネッティ(ヴァイオリン)
 
パリ音楽院、ブカレスト音楽院に学び、さらにドイツでアマデウス四重奏団のもと
で研鑽を積む。イザイ弦楽四重奏団(1984‐1995)、エリゼ弦楽四重奏団(1995‐
2013)を創設、自ら第一ヴァイオリン奏者をつとめた。
これらのクワルテットによって、デッカ、ハルモニア・ムンディ、フィリップス、
ジグ-ザグ、テリトワールでの録音を果たすとともに、ニューヨークのカーネギー・
ホール、ウィーンのムジークフェライン、 ザルツブルクのモーツァルテウム、ロン
ドンのウィグモア・ホール、クィーン・エリザベス・ホール、アムステルダムのコン
セルトヘボウ、パリのシャンゼリゼ劇場、東京のサントリー・ホールなど、世界各地
の檜舞台に登場した。
室内楽奏者としては、オーギュスタン・デュメイ、シュロモ・ミンツ、マリア・ジ
ョアオ・ピレシュ、ジャン=フィリップ・コラール、フランク・ブラレイ、ミシェル
・ポルタルなど著名な音楽かと共演している。演奏活動と平行して、パリ国立高等音
楽院教授として後進の指導にもあたっている。
かつてユーディ・メニューインは、クリストフ・ジョヴァニネッティの演奏を聴き、「私は、この天使のごとき音楽家のおかげで、人生における最もピュアな音楽的感銘を受けた」と述べた。
 
*青柳いづみこ(ピアニスト・文筆家)
 
安川加壽子、ピエール・バルビゼの各氏に師事。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業。東京芸術大学大学院博士課程修了。1990年、武満徹・矢代秋雄・八村義夫作品を集めた『残酷なやさしさ』により、平成2年度文化庁芸術祭賞。
演奏と執筆を両立させる希有な存在として注目を集めており、これまでリリースした9枚のCDが『レコード芸術』誌で特選盤となるほか、師安川加壽子の評伝『翼のはえた指』 (白水Uブックス)で第9回吉田秀和賞、祖父の評伝『青柳瑞穂の生涯』(平凡社ライブラリー)で第49回日本エッセイストクラブ賞、『6本指のゴルトベルク』で第25回講談社エッセイ賞、CD『ロマンティック・ドビュッシー』でミュージックペンクラブ音楽賞を受賞している。テレビ朝日『題名のない音楽会』、『ラ・フォル・ジュルネ音楽祭』等にも出演。近著に『ピアニストたちの祝祭』(中央公論新社)、『グレン・グールド 未来のピアニスト』(ちくま文庫)、『どこまでがドビュッシー? 楽譜の向こう側』(岩波書店)。日本ショパン協会理事。大阪音楽大学教授、神戸女学院大学講師。
オフィシャルサイト:http://ondine-i.net
公式Facebookページ:https://www.facebook.com/aoyagi.izumiko
 
 
 

「2つのニ短調カルテット」~モーツァルト様式の成熟を巡って~

   セミナー形態:  レクチャー & コンサート
 
   講師:    前田昭雄(音楽学)
 
演奏: 岡本誠司、荒井優利奈(Vn)小室明佳里(Va)蟹江慶行(Vc)   
   モーツァルト: 弦楽四重奏曲 ニ短調K173 及び ニ短調K421
 
 
 
 
 
 
 
 

セミナーレポート

「ドヴォルザークのソナチネ」


2014年2月23日(日)  スタジオ・コンチェルティーノ 
講師 エヴァルド・ダネル





 私事ながら、ドヴォルザークの「ソナチネ ト長調 作品100」は大好きな曲だ。この日は、細部にわたってこの曲の分析、解釈を深く知ることが出来た上、3回も全曲が聴け(けっして聴き飽きることはなかった)、さらに極上のデザートまで味わえて、まことに幸福な時間を過ごせた。
 講師のエヴァルド・ダネル氏はスロヴァキア出身のヴァイオリニスト、指揮者であり、ヴィオラの名手でもある。2000年までスロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務め、その後はスロヴァキア室内管弦楽団芸術監督として活躍する傍ら、日本との関係も深く、とくに広島交響楽団とは指揮者、ソリストとして何度も共演を重ね、2008年からは首席客演指揮者の地位にある。片言の日本語をまじえながら英語とドイツ語で行われた公開レッスンで、ダネル氏が見せた精力的で柔軟な指導法は、受講生と聴衆に大きな感銘を与えたようだ。
 雛人形と桃の花が飾られた会場で、レッスンを受けたのは①糸原綾香(Vn)佐伯麻友(Pf)組と②芝田愛子(Vn)大室晃子(Vn)組の4人。手に持ったメモ用紙に盛んにメモを取りながら、ダネル氏は、糸原・佐伯組が第一楽章を弾き終えたところで、「各楽章ごとにコメントしましょうか、それとも全曲演奏し終ってからにしますか」と問いかけ、糸原さんが「全曲弾いてから」と答えたことで、この日のレッスンの基調が決まった。
 ダネル氏が再三指摘したのは「もっと演奏を楽しんで、自然体で」という点。二組ともとかく力をこめて、バリバリと弾く感じが強かったのだが、ダネル氏によれば「ちょっとドラマチックすぎる」。ドヴォルザークが十歳の息子と五歳の娘のために書き、子供たちに献呈したこの曲の由来からしても、より単純に、軽快に、「子供が新しいおもちゃを与えられた時のように」、あるいは「寝つく前の子供におとぎ話を聞かせてあげるように」、楽しみながら演奏してはどうだろう、というのだ。曲の由来を知らなくても、楽譜さえあれば演奏は出来るわけだが、知らないよりは知っておいたほうがいい。そして、この曲に関する限り、やはりデリカシーと愛らしさが必要なように思われる。
 ダネル氏の指導は、基本的な楽器の持ち方(「体の緊張をほぐし、高めのアゴ当てを使って、もっと楽器を上げるように」)や奏法の細かい点(「指のポジションを目で確認しようとしないで」「左手の、使わない小指が、使っている薬指と一緒に大きく動きすぎる」)にまで及び、受講生には大いに参考になった筈だ。また、「これはとくに大事なこと」と岡山・TAMA 音楽フォーラム代表がダネル氏の指摘を補足して、「ドヴォルザークの楽譜にはテンポ設定がきちんと細かく書かれているから、指示のない個所でテンポを変えるのは好ましくない」と述べたのは、ドヴォルザーク作品を演奏する際の重要なポイントだろう。
 約一時間ずつの二組のレッスンの後、ピアノに日下知奈さんを迎え、ダネル氏がもう一度ソナチネ全曲を、心にしみいるように演奏した。さらにダネル氏は楽器をヴィオラに持ち替え、岡山、服部ご夫妻と3人で、ドヴォルザークが2つのヴァイオリンとヴィオラのために書いた「ミニアチュア」を弾いてくれた。意気の合った共演で、けっして甘すぎない、極上の味わいだったと思う。
(舟生素一)





シューベルトの弦楽四重奏曲


2014年5月17日(土)  スタジオ・コンチェルティーノ 
講師 ライプツィヒ弦楽四重奏団




 ライプツィヒ四重奏団はこのセミナー3回目の登場となる。この日の受講曲はシューベルトの弦楽四重奏曲第12番「断章」ハ短調D703。そして受講者は提出された録音が優秀で、印象的だった若手のフモレスケ四重奏団である。今日はこの短い曲をじっくり時間をかけて検討したい。岡山潔・TAMA音楽フォーラム代表のこのような紹介があってセミナーは始まった。第一ヴァイオリン山本美樹子、第二ヴァイオリン對馬哲男、ヴィオラ脇屋冴子、チェロ佐古健一と4人全員が東京芸大で学び、活発な活動を始めているフモレスケ四重奏団はまず「断章」を通して演奏した。
 これに対して、ライプツィヒSQの4人から様々な意見が出され、楽器を持っての熱心な指導が行われた。そのなかで、受講生の演奏が次第に息づき、しなやかさを増していくありさまが見て取れた。指導は専門的かつ綿密を極めたが、その中で、印象に残った内容を取り出して以下に記録しておく。


全体としてもっとダイナミックの幅を広げること。この10分の曲に詰まっている内容を適切に表現するためにその幅が必要だ。


この曲の冒頭をあなたたちはどのように考えているか。とらえ方は二通りあると思う。ひとつはドラマティックに緊張感を持って始める。もう一つは神秘的で何もないようなところから音楽が生起するように表現する。どちらを選ぶか。この質問に対して、フモレスケSQを代表して第一ヴァイオリンの山本さんが前者の緊張感を取りたいと答え、ライプツィヒ側もその通りと賛同した。


シューベルトの音楽は白黒はっきりとせず、そのどちらとも言い表し難い面があり,それがシューベルトの特徴だ。


緊張するのはいいが緊張しすぎて引き攣らないように。スタッカートでなくピアニッシモで、最弱音からクレッシェンドへ。それを4人で形成する。クレッシェンドへ行く途中、もっと弓幅を使って駆け上がること。第一ヴァイオリンは手ではなくもっと腕を使った方がいい。


この曲の冒頭の演奏はシューベルトの中でも最も表現が難しい。(セミナーの別のところでも、第一ヴァイオリンのアルツベルガーさんがこの曲の演奏のむずかしさを強調していた)。


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小節からの第二主題の第一ヴァイオリンの歌にリズムを刻むあとの3人が同じラインをたどっている。同化しているというか「友好的」過ぎると思う。シューベルトはそれを望んでいただろうか。ここは同化せず、コントラストをつけた方がいいのではないか。つまり伴奏ではなく、独立した声部として演奏したい。むかし、アマデウスSQの連中がここのところを必死になって、緊張して抑圧されたように表現していた。それを実現するには第二ヴァイオリンとヴィオラは弓を短く使いぼやけないように演奏するといい。音は控えめに。たとえ、第一ヴァイオリンと残る声部との表現にずれができても、それがかえって緊張感を高めることがある。


第二主題の第一ヴァイオリンの歌がオクターブ上がるところはこれまでと違う世界が開けるのだ。同じように聞こえない方がいい。第二主題のチェロの歌は内面的によく歌うように。


刻々と変わるハーモニーの移り行き、その表情がもっと出るといいが。これはただのきれいな世界ではない。これは「未完成交響曲」にも通じるシューベルト的な「移ろいの表情」なのだ。


これを実現するのは至難の業といえる。今日はこのむずかしさをどうするか。幾分なりとも明らかになったのではないか。


以上でセミナーは終わり、15分の休憩の後、コンサートに移り、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第3番ニ長調とシューベルトの弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」イ短調D804をライプツィヒ四重奏団が演奏した。ともにダイナミックな力演で満員の聴衆から熱心な拍手を浴びた。
ライプツィヒ四重奏団はライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者によって1988年に創立。ミュンヘン・コンクール第2位(1位なし)など数々の国際賞を受賞、世界第一級の四重奏団としての評価を高めている。近年は毎年来日し、日本の室内楽ファンの高い支持を得ている。現在のメンバーは第一ヴァイオリン:シュテファン・アルツベルガー、第二ヴァイオリン:ティルマン・ビューニング、ヴィオラ:イヴォ・バウアー、チェロ:マティアス・モースドルフ。(記録者:西谷晋)







 

ブラームスのチェロとピアノのためのソナタ


2014年6月15日(土)  スタジオ・コンチェルティーノ 
講師 Danjulo Ishizaka




2014年6月15日(日)  スタジオ・コンチェルティーノ
今を時めく、というべきか、人気も実力も世界トップレベルのチェリスト、石坂団十郎さんの登場である。ご存知の方には言うまでもないことだが、日独混血で、ドイツを本拠にして世界で活躍し、2011年からは名門ドレスデン音楽大学教授として後進の指導にも当たっているこの人の氏名の表記は、本来「ダンジュウロウ・イシザカ」であるべきなのだが、ここでは便宜上「石坂さん」と書かせていただく。
 公開レッスンは日本語で行われたが、彼にとってやはり「母国語」はドイツ語であり、時おり日本語の音楽用語や微妙なニュアンスの言い回しが出てこないと、ドイツ語になり、岡山さんが「通訳」することになる。だからといって分かりにくいということは全くなく、受講生たちは目を輝かせて石坂さんの指導に聴き入っていた。以下、1組目の佐藤晴真君(チェロ、東京藝術大学付属音楽高校2年)と加藤美季さん(ピアノ、東京藝術大学音楽学部2年)、2組目の稲本有彩さん(チェロ、東京藝術大学3年)と町田美弥子さん(ピアノ、桐朋学園音楽大学卒、マンチェスター北王立音楽院ディプロマコース及び演奏家コース修了)にレッスン終了後話してもらった感想を含めながら、公開レッスンの模様を再現していこう。
 受講曲は、ブラームスのチェロとピアノのためのソナタ第2番ヘ長調 作品99。波立つようなピアノの響きに乗って、2拍目の裏からチェロが朗々と弾き始める冒頭部分は、この曲の「キモ」と言っていいだろう。「ピアノはもっと堂々と。5度、8度の音程の間隔をもっとくっきりさせたほうがいいと思う」と言いながら、石坂さんはいきなりピアノを弾き出した。これには加藤さんも驚いたようで、「びっくりしました。ピアノもあんなに弾けちゃうんですね」と感想を漏らしていた。
 ブラームス晩年の名曲は、高校2年生には荷が重いように思われたが、佐藤君は物怖じせず第一楽章を弾ききった。「5小節目から、3回繰り返される同じ音型のフレーズは、付点のリズムをあまり強くせず、音の強弱の変化をもっとつけて」という具合に、一度通して演奏した後は、石坂さんの細かい指摘が次々に出てくる。
 受講の感想を聞くと、佐藤君は「とても勉強になりました。とくに、曲のコウチクリョクが大切なんだなあ、と」。ちょっと耳慣れない言い回しだが、「構築力」ということなのだろう。さらに「ヴィブラートはまだまだ僕の課題です」「フレーズに応じて、色々な、違った音を出すようにしないと」と、取り組むべきことがちゃんと判っているのが素晴しい。
 2組目の稲本・町田組は、予定されていたピアニストが参加できなくなったとかで急きょコンビを組んだのだそうだが、とてもそうは思えない演奏ぶりだった。ここでも石坂さんは「音の量が足りない」「繰り返しは、ただ繰り返すのでなく、ニュアンスの変化をつけないと」と、細部にわたって注文をつけた。さらに、腕と手首の使い方、長調と短調の弾き分け、などについての指摘は、チェリストにもピアニストにも大いに参考になった筈だ。留学経験のある町田さんが「音楽といつも一緒に生きているヨーロッパのダイナミズムを痛感しました」と話していたのが印象に残る。
 公開レッスンの後は、ピアノに鈴木慎崇さんを迎えて、石坂さんが第2番ソナタ全楽章と、ソナタ第1番の第2楽章をダイナミックに演奏して、満員の聴衆の大きな拍手を浴びた。 (舟生素一)


J.S.Bachのヴァイオリンとチェンバロ(ピアノ)のためのソナタ その1


2014年9月15日(祝・月)  スタジオ・コンチェルティーノ 
講師 小林道夫

 文字通りのピアノとチェンバロの大家、小林道夫先生がこのソナタ全6曲を3回に分けて開くセミナーの1回目である。ヴァイオリンは古楽の分野でも幅広い活躍をしている桐山建志先生で、公開レッスンのあとのコンサートで、二人がソナタ第1番BWV1016ロ短調と同第3番BWV1016ホ長調を演奏した。

 公開レッスンの受講者はヴァイオリンが東京芸大大学院在学中の田中李々さん、ピアノがフランス国立パリ音楽院伴奏科在学中の伊藤順一さんで、受講曲はソナタ第3番BWV1016。最初にTAMA音楽フォーラムの岡山潔代表から、小林先生がなぜ今回、チェンバロでなくヴァイオリンとピアノでセミナーをするかについて、あとで説明があるとの挨拶でレッスンが始まった。まず、第3番の全4楽章が演奏された。
 小林先生から「全体として、ヴァイオリンが支配しすぎている。第1楽章の鍵盤は分厚く右手が難しく書かれているが、和音としての演奏になってしまっていた」。また第1楽章のヴァイオリンについて「長い音の後の動き出しははっきりしたほうがいい時とそうでないときとがあるが、ここでははっきりしすぎないほうがいい」。「第3楽章は遅すぎないように注意したい。バロック音楽の遅い楽章は遅くなりすぎないほうがいい」などの注意があった。
 そして、バロック時代の音楽について、ニコラウス・アーノンクールの「古楽とは何か」(邦訳音楽之友社1997年)の第5章「アーティキュレーション」を引用しながら、今回の講座全体への言及があった。小林先生はアーノンクールによりながら、バロック音楽は当時の生活全般と同じく、全ては階級的に段階づけられていたという。音符にも高貴なものと卑しいもの、良い音符と悪い音符があった。たとえば4拍子の場合、1拍目は高貴で2拍目が卑しく、3拍目はそれほど高貴でなく、4拍目は惨めというわけである。このようなバロック音楽の基本と言える階級的な骨格は拡大されて、小節群や、楽章、また曲全体にも緊張と弛緩として現れる。もちろんこの図式通りに音楽が進めば単調で退屈になるが、不協和音がテンションとして現れる。不協和音は常に強調すべきだが、不協和音の解決は、消えていくように弱まるのが常道である。この階層性は音の上下、上方音形と下方音形の違いにも当てはまる。つまりバロック時代の音符を見れば、だいたいどう弾けばいいかがわかるようになる。特にJ.S.バッハなどの大家の勉強はとても大切なのだ。バロックの基本を押さえておくと、バロック以降の音楽にも応用できる。だからこそ、今回のバッハのソナタの講座では、チェンバロではなく、鍵盤楽器として現在、最も一般的なピアノとの編成で勉強したいと思った。以上のように小林先生は今回のセミナーシリーズの基本的な考えを述べた。

 公開レッスンはさらに小林先生の綿密な指導と、折々のヴァイオリニスト桐山先生の見解を織り込みながら進行した。細部の再現は不可能だが、主な点だけを書き抜く。
* 受講生が第1楽章を演奏する。「ホ長調の陽が射していて、次第に模様が変わる」「ずっとホ長調が続いていると、そうでなくなる時の喜びもある」「いろいろ言ったが、これをヒントにもう一度演奏しませんか」と言われて再演すると、音楽の流れがずっと良くなった。
* 第2楽章について「少しメカニックな気がする。もう少し軽やかな方がいい。また、テンポは人によってふさわしいテンポがある。いろいろ試すといい。少し羽目を外す気でテンポを探って欲しい」。
* 第3楽章について。「アダージオと書かれると遅く演奏しがちだが、本来アダージオは「静か」という意味、テンポよりも雰囲気だと思うがどうだろう。バロックは遅すぎないほうがいい。3拍子が感じられ、普通に歩ける静けさで・・・」。
* 不協和音の部分で小林先生が実演しながら「不協和音のテンションを考えるといろいろなことが見えてくる」。
* 第4楽章の三連音符が続くところで。「もっと自然に。テンポにこだわり過ぎて多少ぎこちない感じ。しかし二人とも急がないで慎重に進んで欲しい。84小節目は急がずに、91小節もカデンツだからしっかり打ち出す。」
*バロックの公式では、音型が下がるときは柔らかく、小さくなるように。大体、1800年で線が引ける。それ以前は階級的バロックだが、そのあとは、楽譜に克明に書いてあるようになる。マーラーとモンティヴェルディが同じオタマジャクシを使っているのは不思議だが、マーラーをやるつもりでモンティヴェルディに当たるべきでない。

 公開レッスンのあと、コンサートに移り、バッハのソナタ第1番と第3番が演奏された。批評はおろか、感想も控えるべきだが、見事な演奏で、これがどのような音楽であるのかが小林先生の克明に進行するピアノで次々に明らかにされた。桐山先生の演奏も古楽奏法の中にロマンの表情がにじみ出ていた。アンコールとしてバッハの3番目の息子、C.P.E.バッハのヴァイオリンとピアノのためのソナタホ短調の冒頭楽章が演奏され、大バッハの後の多感様式による新しい時代を覗かせてくれた。
 最後に岡山潔代表が次の小林先生のバッハのソナタの公開レッスンは来年9月になると予告した。
 (記録者:西谷晋)






「フランス音楽の楽しみ」


2014年10月19日(日)  スタジオ・コンチェルティーノ 
講師 青柳いづみこ(ピアニスト・文筆家)
共演 クリストフ・ジョヴァニネッティ(ヴァイオリニスト)



 会場で配布されるプログラムの裏面の演奏者プロフィールに「演奏と執筆を両立させる稀有な存在」と紹介されている青柳さんだからこそ、レクチャーとコンサートを一人でやりおおせてしまえるわけだ。しかも、演奏面では「これまでリリースした9枚のCDが『レコード芸術』誌で特選盤となり」、数多い著書は「吉田秀和賞、日本エッセイストクラブ賞、講談社エッセイ賞、ミュージックペンクラブ賞などを受賞している」(演奏者プロフィール)というのだから、まさに折紙付きの稀有さである。
 だから、会場に現れた青柳さんの、飾り気のない、ざっくばらんと言いたいくらいの率直な語り口はちょっと意外でもあった。コンサートの最初は、めったに全曲を聴く機会のないガブリエル・ピエルネ(1863~1937)のピアノ曲「子供のためのアルバム」。6曲からなる組曲で、第6曲『鉛の兵隊のマーチ』がよく知られているが、青柳さんにとっては第5曲『昔の歌』が思い出深いという。恩師・安川加寿子さんに入門して、最初の発表会で弾いた曲だそうで、「転調の妙は、モーツァルトに通ずると思います」。
ここから、話題は安川さんの回想になり、「1歳の時にフランスに移られて、とてもうらやましい豊潤な文化の中で育った方なんですね。言葉少なで、レッスンの時は『急がないでね』と『間違わないで』しかおっしゃらなかったような印象なんですけど、でもそんな安川先生がフランス語だととってもおしゃべりになることが、或る時わかったんです」。ユーモアを滲ませながら敬愛する恩師について話す口調は、まことに滑らか。思い出は尽きないようで、詳しくは青柳さんの著書『翼のはえた指』(評伝・安川加寿子)で味読することができる。
 次のプログラムもピエルネのヴァイオリン・ソナタ Op.36。ここで、ヴァイオリンのジョヴァニネッティさんが登場する。原タイトルが「ヴァイオリンとピアノの」ではなく「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」となっていることを指摘し、「これもモーツァルトと同じですね」。確かにピアノ主導の華麗な曲想で、意気の合った協演が繰り広げられた。ジョヴァニネッティさんは、演奏者プロフィールによれば「パリ音楽院、ブカレスト音楽院に学び、イザイ弦楽四重奏団、エリゼ弦楽四重奏団を創設、自ら第一ヴァイオリン奏者をつとめた」逸材で、岡山潔・TAMA音楽フォーラム代表が「青柳さんのパートナーの一人で、CDで聴くと、とても面白い演奏をする方です」と紹介してくれた通り、奔放で自在な弾き方が印象的だった。
 休憩後の第2部は、長年にわたって青柳さんの、演奏と著作の両面に渡る研究対象であるクロード・ドビュッシー(1862~1918)の作品で構成された。まず青柳さんの独奏で「前奏曲集第1巻」から「デルフの舞姫たち」と「沈める寺」。次いでドビュッシーの歌曲、ピアノ曲をハンガリー系米国人ヴァイオリニスト、アーサー・ハルトマン(1881~1956)がヴァイオリンとピアノ用に編曲した「巷に雨の降るごとく」と「ミンストレル」が二人で演奏された。
 青柳さんによれば、ハルトマンは1908年からパリに移住してドビュッシーと親交を結び、二人でコンサートを開いたこともあるという。アンコールで演奏されたグリークのヴァイオリン・ソナタ第2番(第2楽章)も二人の演奏曲目だったし、アンコール2曲目の「亜麻色の髪の乙女」もハルトマンの編曲。というわけで、プログラムには青柳さんならではの一貫性が仕掛けられているのだった。
 コンサートの締めくくりは、ドビュッシー晩年の傑作「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」。「ほんとは沢山しゃべりたいんですけど、ちょっとだけ」と言いながら、このソナタがガンの苦しい治療の中で書き進められたこと、未完のオペラ『アッシャー家の崩壊』のモチーフが散りばめられていること、などが語られた後、見事な演奏が繰り広げられた。
 終演後、「お話と演奏がとてもいいバランスで進められて、この場所にふさわしい催しになりました」という岡山さんの締めくくりの言葉に、満員の聴衆は深く頷き、大きな拍手が起こった。
(舟生素一)

 

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