TAMA音楽フォーラム

若手演奏家育成とクラシック音楽の振興を目指します

活動履歴2013

セミナーの内容

「 漱石が聴いた室内楽 」

セミナー形態: レクチャー & コンサート
 
   講師:    瀧井 敬子(東京藝術大学特任教授、音楽学)
 
 
 
   聴講:     先着70名限定
 
   明治時代の我が国のインテリ層がクラシック音楽をどのようにとらえていたか?
コンサートプログラム
 
 
瀧 廉太郎  「憾み」 (ピアノ独奏)
Niels Gade ピアノ三重奏曲 第1番 ヘ長調
Mendelssohn ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調
Dvorak ピアノ五重奏曲 イ長調
 
 
演奏
 
野田清隆(Pf)
岡山 潔、服部芳子(Vn)
大野かおる(Va)
河野文昭(Vc)
 
 

 「 モーツァルトのピアノとヴァイオリンのためのソナタ 〜その4〜 」

 
   セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 
   講師:    小林 道夫(Pf)共演:岡山潔(Vn)
 
   受講曲: モーツァルトのすべてのヴァイオリンソナタの中から1曲 
 
 
公開レッスンへの応募方法:受講を希望する作品の第1楽章をCD、またはMDに録音し、受講申込書を添えて郵送で申し込むこと。
   応募締切:  1月19日(土)必着
 
受講生と受講曲目
 
受講者

ピアノ    生熊 茜
ヴァイオリン 清水公望
受講曲 モーツァルト ピアノとヴァイオリンのためのソナタK454 ヘ長調
 

ピアノ     香取由夏
ヴァイオリン  瀧村依里
受講曲 モーツァルト ピアノとヴァイオリンのためのソナタ K377 変ロ長調
 
 
 
コンサート プログラム
モーツァルト ピアノとヴァイオリンのための主題と12の変奏曲K359 ト長調
ピアノとヴァイオリンのためのソナタK380 変ホ長調 
 
ピアノ 小林道夫、 ヴァイオリン 岡山 潔 
 
 
 

「 メンデスゾーンのヴァイオリンソナタ 」

セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 
  講師:    星野 宏美(音楽学)
 
  受講曲: メンデルスゾーンのヴァイオリンソナタ ヘ短調 1823年、又はヘ長調 1838年の
       いずれか
       Barenreiter版を使用すること。
 
 
  公開レッスンへの応募方法:受講を希望する作品の第1楽章をCD、またはMDに録音し、受講申込書を添えて郵送で申し込むこと。
  応募締切: 2月16日(土)必着
 
聴講:     先着70名限定
受講生と受講曲目
 
 
 
【公開レッスン】

受講生  Duo Espoir(デュオ・エスポワール)  
     清岡 優子(Vn ) 東京藝術大学大学院修了
現在、藝大フィルハーモニア ヴァイオリン奏者
  大野 真由子(Pf ) 東京藝術大学大学院修了
現在、同大学管打楽器科伴奏助手
 
受講曲  メンデルスゾーン: ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 1838年
 

受講生  
     西川 茉利奈(Vn ) 東京藝術大学大学院修了    
ドイツ国立ベルリン芸術大学卒業
     吉武 優(Pf )    東京藝術大学大学院在学中
 
受講曲  メンデルスゾーン: ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 1838年
 
コンサートプログラム
 
  メンデルスゾーン ヴァイオリンソナタ ヘ短調(1823年)
      メンデルスゾーン ヴァイオリンソナタ ヘ長調(1837年)
 
 ヴァイオリン:山本美樹子
  ピアノ: 奈良希愛
 
 
 
 
 

  「 弦楽四重奏 合宿セミナー 」

 
 
 
雄大な八ヶ岳の麓、小淵沢のリゾナーレにおいて、
我が国室内楽界の第一線で活躍する経験豊かな演奏家達を講師陣に迎え、
若手弦楽四重奏団を対象とした室内楽合宿セミナーを行います。
セミナーでは公開レッスン(聴講自由)とリハーサルが集中的に行われ、
成果発表としての「リゾナーレ音楽の森ホール」における
フレッシュコンサートを以って終了します。
 
 
講 師
 
岡山 潔(Vn)東京藝術大学名誉教授
 
服部 芳子(Vn)愛知県立芸術大学名誉教授
 
山口 裕之(Vn)N響コンサートマスター、桐朋学園大学講師
 
川崎 和憲(Va)東京藝術大学准教授、国立音楽大学客員教授
 
山崎伸子(Vc)東京藝術大学教授
 
河野文昭(Vc)東京藝術大学教授
 

  • 会場
    • 星野リゾート リゾナーレ  山梨県北杜市小淵沢町129-1 Tel:(0551)36-5111
  • 参加費用
    • 受講料 無料、聴講自由(無料)
    • 宿泊(リゾナーレ)と、交通費は参加者本人の負担
  • 受講申込
    • とグループの最近の演奏(スタンダードな弦楽四重奏曲の第1楽章を、MD/CDのいずれかに録音したもの)をTAMA音楽フォーラムへ送付すること。(既に同じメンバーでセミナーに参加しているグループは申込書のみでよい)
    • 申し込み期間は2013年2月1日〜28日(締め切り日)まで
    • 選考結果は3月初旬に書面にて通知します。
    • 約6組の受講カルテットを公募します。
  • 受講曲目
    • 参加グループの希望曲

 
 
お問い合わせ
 
TAMA音楽フォーラム代表 岡山 潔
〒194-0042 町田市東玉川学園1-6-20  Tel 042 729 4698 Fax 042 729 4603
e-mail kiyokayama@nifty.com  HP: http:// tamamf.s1.bindsite.jp
 
主催 NPO法人TAMA音楽フォーラム
後援 リゾナーレ  協賛 「基金緑の風」
 
 
 
事前のテープ審査で選抜された6組の弦楽四重奏団が参加し、特に優秀と認められた2グループに第23回リゾナーレ室内楽セミナー 優秀賞と奨励金を贈呈しました。
 
Amber Quartet

  1.  久米浩介、佐藤奏 Va.高木真悠子 Vc.荒井結子

 
Quartett Humoreske
Vn. 山本美樹子、對馬哲男 Va.脇屋冴子 VC.佐古健一
 
 

「 ライプツィヒ弦楽四重奏団演奏会 」

 
   セミナー形態: コンサート
 
  講師:    ライプツィヒ弦楽四重奏団
 
コンサートプログラム
 
Mozart:弦楽四重奏曲 KV 458 変ロ長調 “狩”
Widmann: 弦楽四重奏曲 第3番“狩”
Mendelssohn :弦楽四重奏曲 op.44/3 変ホ長調
 
第1ヴァイオリン Stefan Arzberger
第2ヴァイオリン Tilmann Büning
ヴォオラ Baues Ivo
チェロ Matthias Moosdorf  
 
 
 
 
 
 

「 プロコフィエフのヴァイオリンソナタ第1番 」

 
   セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 
  講師:    野平 一郎
 
 
受講曲: プロコフィエフのヴァイオリンソナタ第1番 ヘ短調 op.80
 
  公開レッスンへの応募方法:受講を希望する作品の第1楽章をCD、またはMDに録音し、受講申込書を添えて郵送で申し込むこと。
  応募締切: 5月31日(金)
 
 
 
 
受講生と受講曲目
 

  1. プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op.80

 
 
1.石井智大(Vn) 東京藝術大学弦楽科 1年
加藤美季(Pf) 東京藝術大学楽理科 1年
 

  1.  三輪莉子(Vn) 東京藝術大学弦楽科 3年

秋山友貴(Pf) 東京藝術大学作曲科 3年
 
コンサートプログラム
 

  1. プロコフィエフ:フルート・ソナタ ニ長調 Op.94

       (ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ長調 Op.94 bis )
 Moderato
Scherzo, Presto
Andante
Allegro con brio
 

  1. チャイコフスキー:「なつかしい土地の思いで」より

           メロディ 作品42-3 (1878 )
 

  1. ラフマニノフ:ヴォカリーズ  作品34-12 ( 1912 )

 
 
演 奏
         ピアノ     野平 一郎
         フルート    佐久間 由美子
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「 ベートーヴェンのピアノトリオ op.70-1,op.70-2,op.97 」

 
    セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 
         講師:    植田 克己(Pf)
 
 
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 op.70-2 変ホ長調
 
ピアノ 植田克己  ヴァイオリン 玉井菜採  チェロ 河野文昭
 
 
 

  • 受講曲:
  • ベートーヴェン ピアノ三重奏曲 op70-1, ニ長調「幽霊」、
  • ピアノ三重奏曲 op70-2, 変ホ長調、
  • ピアノ三重奏曲 op.97, 変ロ長調「大公」
  • 以上3曲より1曲
  • 応募締切: 6月29日(土)

 
 
 
1.阿蘇有紗(pf) 国立音楽大学専修ピアノ科、ピアノコース修了
  池田典子(vn) 国立音楽大学卒業、室内楽コース修了
  寺島志織(vc) 国立音楽大学卒業
  受講曲: ベートーヴェン ピアノ三重奏曲op.70-1 「幽霊」
 
2. Vibrante Trio
松田祐輔(pf) 東京藝術大学卒業
  山本有紗(vn) 東京藝術大学大学院修了
  高木俊彰(vc) 東京藝術大学卒業、菊里音楽高校講師
受講曲: ベートーヴェン ピアノ三重奏曲 op.97 「大公」
 
 
 
 
 
 

「 後藤 勇一郎(ヴァイオリン)・ 私季コンサート 〜 ジャンルの垣根を越えた表現力と作編曲の妙 〜 ベートーヴェンがJazzになったら!童謡がクラシックになったら!」

 
   セミナー形態: レクチャー & コンサート
 
   講師:    後藤 勇一郎(Vn) 
 
 
 
 
後藤勇一郎 プロフィール
 
東京芸術大学附属音楽高校を経て1990年東京芸術大学を卒業。主にソロアーティストとして、他にも各種オーケストラや弦楽合奏におけるコンサートマスター等幅広く活動し、長年にわたる全国各地での演奏、又国内にとどまらずニューヨークの国連総会議場やカーネギーホールでも演奏する。
 
その活動は幅広く、バンド‘Gークレフ’のメンバーとし約2年間活動した後、新たに結成した自らのバンド”The Dynamites”ではライブやCD製作を行い、初のオリジナルアルバム「Colorssic」を発売。その中から各種CMに楽曲を提供している。
その後も全曲美空ひばりの楽曲を取り上げた「爆裂的美空音盤」を、そしてベートーベンの四大交響曲を斬新にアレンジした「ばくれつ的ベートーバン」をリリース。
又第3回大阪国際室内楽コンクール&フェスタに於いて、日本のグループとして唯一本選に進み特別賞を受賞する。
 
その他多数のアーティストのレコーディングやコンサートへの参加や音楽番組への出演、映画やドラマ、CM等自己のグループによるスタジオワークで活動する一方、 作編曲家として各種BGMやCMの作編曲、様々なアーティストのストリングスを中心とした編曲等のマルチな活動と共に、現在は、満を持して2002年に発売した初めてのソロアルバム「私季」をベースにしたリサイタルシリーズ「私季コンサート」を中心に、ソロアーティストとしての活動を充実させつつある。
 
 
後藤勇一郎公式サイト「GOTSU.NET」
 
 
 
 

 「 ベートーヴェンのピアノとヴァイオリンのためのソナタ op.12-1,op.12-2 」

 
   セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 
   講師:    安永 徹(Vn) 市野 あゆみ(Pf)
 
 
 
ベートーヴェンのピアノとヴァイオリンのためのソナタ op.12-1 他
 
   演奏:安永 徹(Vn) 市野 あゆみ(Pf)
 
このセミナーはコンサート、公開レッスンの順で行う予定です。
 
 
 
受講生:  1.中村楓子(Vn), 田村綾菜(Pf) op.12-1
        2. 真野謡子(Vn), 後藤加奈(Pf) op.12-2
 
 
   受講曲: ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第1番 op.12-1 または第2番 op.12-2

  • 応募締切: 8月17日(土)

 
 
 
 
 

「 J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第3番、第5番、第6番 」

 
 
   セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 
   講師:    クラウス・カンギーサー(Vc)
 
 
 
 
J.S.Bach 無伴奏組曲 第4番 他
 クラウス・カンギーサー 
 
 
 
1.小畠 幸法 (東京藝術大学大学院修了)
  Bach 無伴奏組曲 第1番
 
2.加藤陽子 東京藝術大学大学院修了、
        ウィーン音楽演劇大学大学院修了
  Bach 無伴奏組曲 第4番
 
 
 
 
 
受講曲: J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲第3番、第5番、第6番 いずれか1曲
 
応募締切:9月14日(土)
 
クラウス・カンギーサー (チェロ)
Ctaus KANNGiESSER(Vloloncello)
 
オルデンブルグ(ドイツ)に生まれる。
国立ハンブルグ音楽大学でフォイヤーマン門下のハインリッヒシューヒナーに師事した後、DAAD奨 学生としてジュリアード 音楽院(ニューヨーク)に留学、ツァラ ネルソーヴアのもとで研鎮を積む。またガスパール カサド、パブロ カザルス、ユーディ メニューイン卿、ルドルフ ゼルキン等、偉大な芸術家たちの素晴らしい人間性に触れ、インスピレーションを受ける。
1964年 ベルリンで開催された第1回「青少年音楽コンクールでの優勝を皮切りに1967年ARDミ ュンヘン国際コンクール、 1968年 モーリス レープ コンクール(ニューヨーク)、1970年 ユネスコ コンクール(パリ)など数々の国際コンクールで入賞。これにより彼は、ユーディ メニューインとブラームスの二重協奏曲を演案する機会を得る。
その後世界の主要オーケストラとのコンサート活動を活発に行い、Aドラティ、Mロッスイ、Hシ ュミットイッセルシュテット、 Stスクロヴァチェフスキー、Pデルヴォー、チャールス グローブス卿、Pル ツィツカ等、名だたる指揮者たちと協演を重ねる。
スポレート、ナポリ、マールボロ、ベルリン、ボン、シュレースヴィッヒ ホルシュタインなどの国際音楽祭に客演し、聴衆を魅了。 室内楽案者としては1981~91年シュツットガルト ピアノトリオ、1992~97年パイデイア トリオ(クラリネット、チェロ、ピアノ) のメンバーとして活躍。1993~2001年 ドイツ最古の室内楽音楽祭「ヒッツァカー夏の音楽祭」の芸術監督を務める。
教育面では1971年 ドイツ最年少の教授として、国立ザールブリュッケン音楽大学モーリス ジャンドロンの後継者となる。 1987年 国立ケルン音楽大学に移り、2002年 からは副学長も兼任。
チャイコフスキー コンクール(モスクワ)をはじめARD(ミ ュンヘン)、ジュネーブ、ライプツィヒ、パリ、シュヴェニンゲン等、数多 くの国際コンクール審査員を歴任。
2009年 5月、愛知県立芸術大学芸術創造センターのアーティスト イン レジデンスに招鴨され、ケルン音楽大学の大学院生によるピアン/トリオを伴い来日した。
楽器は1724年製のチェロ、ダヴィッド テヒラー(ロ―マ)を使用。リサイタルで演奏を予定しているショパンの「チェロソナタト 短調 Op 65」では、ヘンレ社版の監修にも携わっている。
 
 
 
 
 
 
 
 

「 モーツァルトのピアノとヴァイオリンのためのソナタ 」

 
 
   セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 
   講師:    小林道夫(Pf)  共演 岡山 潔(Vn)
 
 
 
W.A.Mozart  6つの変奏曲 ト短調 K360
W.A.Mozart ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 K481
 
 
 

  1. 齋藤澪緒(vn) 東京藝術大学音楽学部在学中

松橋朋潤(pf) 東京藝術大学大学院在学中
 
ヴァイオリンソナタ 変ロ長調 K378
 
 
2.三雲はるな(vn) 東京藝術大学音楽学部在学中
         反保沙季(pf) 東京藝術大学音楽学部在学中       
 
ヴァイオリンソナタ 二長調 K306
 
受講曲: モーツァルト すべてのヴァイオリンソナタの中から いずれか1曲
 応募締切: 10月26日(土)
 
 
 
小林道夫
 
東京藝術大学音楽学部学理科卒業。ドイツのデトモルト音楽大学に留学し、幅広く研鑽を積み、帰国後はチェンバロ、ピアノ、室内楽指揮など多方面にわたり活躍し、特にバッハ、モーツァルト、シューベルトの解釈、演奏は高く評価されている。数多くの世界的名演奏家達と共演し、最も経験豊かな音楽家の一人と言えよう。  1956年毎日音楽賞新人奨励賞、1970年鳥井音楽賞(現サントリー音楽賞)、1972年ザルツブルグ国際財団モーツァルテウム記念メダル、1979年モービル音楽賞をそれぞれ受賞している。  武庫川学院女子大学教授、国立音楽大学大学院教授、大阪芸術大学大学院教授、東京藝術大学客員教授を歴任し、現在、大分県立芸術文化短期大学客員教授。
 
 
 
 

「 ウィーン古典派の弦楽四重奏曲 」

 
 
   セミナー形態: 公開レッスン & コンサート
 
   講師:    ヨハネス・マイスル(Vn)  演奏:Quartette Humoreske
 
 
 
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 作品18−6
ハイドン:弦楽四重奏曲 作品50−1
 
 
受講生:
Quartette Soleil
Quartette Humoreske
 
 
 
受講曲: ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲 
の中から いずれか1曲
 
応募締切: 11月23日(土)
 
 
 
 
 
Johannes Meissl (ヨハネス・マイスル)
 オーストリア生まれ。リンツのブルックナー音楽院でヴァイオリンと作曲を学び引き続き、ウィーン音楽大学でヴァイオリンをシュナイダーハンとG.ヘッツェルに師事する。同大学卒業後、弦楽四重奏でラ・サール・カルテットの薫陶を受け1982年アルティス・カルテットを結成し、数々の国際コンクールに入賞。ウィーンを本拠地に世界を代表するカルテットとして多彩な活動を展開している。  1992年からウィーン音楽・演劇大学室内楽科で教鞭をとり、現在教授として後進の指導にあたっている。  近年はオーケストラ教育にも情熱をもち、ウィーン青少年オーケストラやジュネス・ムジカーレなどヨーロッパで指揮者およびトレーナーとして高い評価を得ている。  東京藝大チェンバーオーケストラには2006年第6回定期演奏会に客演指揮。A.ウェーベルン・F.シューベルトなどを指揮した事は記憶に新しい。
 
Qaurtette Soleil
 
平野悦子(ヴァイオリン)
東山加奈子(ヴァイオリン)
高橋 梓(ヴィオラ)
太田陽子(チェロ)
 
Quartette Humoreske
 
對馬哲男(ヴァイオリン)
山本美樹子(ヴァイオリン)
脇屋冴子(ヴィオラ)
佐古健一(チェロ)
 
 
 
 

セミナーレポート

「夏目漱石が聴いた室内楽」

     レクチャー&コンサート
    
      講師:瀧井敬子
   2013年1月12日(土)15時開演 スタジオ・コンチェルティーノ
 
 本日の講師、瀧井さんは、明治の文豪のクラッシック音楽の受容について研究してこられた第一人者です。という岡山潔TAMA音楽フォーラム代表の紹介でセミナーは始まった。瀧井さんは現在、東京芸大特任教授、くらしき作陽大学特任教授で、著書に「漱石が聴いたベートーヴェン」などがある。
 瀧井さんの熱のこもった話の中に音楽演奏が織り込まれる形でセミナーは進行した。瀧井さんの話は要点に絞って紹介する。
 *序曲ともいうべきか、明治35年ごろ、ドイツで勉強した滝廉太郎のピアノ小品「憾み」を野田清隆氏が演奏した。そのころ漱石はまだロンドンにいた。
 *漱石は明治の近代化に批判的だったが、音楽、絵画などは心を豊かにすると評価していた。それは、「草枕」の冒頭部分によく表れている。「とかくに人の世は住みにくい」が、住みよくするために詩人や画家ができる。「あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、ひとの心を豊かにするがゆえに尊い」。
 *漱石は音楽に造詣の深い寺田寅彦との交遊を通じて、次第に音楽の世界に深く入り込んでいく。奥さんを亡くした寺田はしきりに千駄木の漱石を訪ね、一緒に上野の奏楽堂に音楽を聴きに行く。当時奏楽堂は音楽学生のためだけでなく、来日外国人音楽家の演奏の場、また、インテリや金持ちの交流の場でもあった。
 *漱石の「野分」は寺田がモデルとなっている。部分的に高柳君に漱石に気持ちが入っている。金持ちの才子中野君が、音楽に疎い高柳君を初めて奏楽堂に連れて行くところ(第4節)がある。ここでは高柳君の目を通して、奏楽堂の情景、演奏会の印象が描かれる。音楽が秋の色に染まる。曲目の第一は「バイオリン、セロ、ピヤノ合奏とある。高柳君はセロの何たるかを知らぬ」と漱石は書く。当時、ピアノトリオというとまずメンデルスゾーンの作品49が思い浮かぶ。ここでその第1楽章の演奏をしていただく。第1楽章の演奏はヴァイオリン岡山潔、チェロ河野文昭、ピアノ野田清隆。
 *わたし(瀧井)も「野分」を読んで、メンデルスゾーンだと思ったが、違っていた。
「日本の音楽百年史」では「ゲーテ作」とある。おかしいと思って、元資料の明治39年の音楽新報12月号に当たると「ゲーデ作」となっていた。これで、このピアノトリオがデンマークの作曲家ニイルス・ガーデ作とわかった。彼は1843年にライプチヒに行きそこでメンデルスゾーンと親しくなり、ゲヴァントハウスの第2指揮者、そしてメンデルスゾーンの死後、第1指揮者に昇格する。交響曲8曲を作るなど当時は有力な作曲家だった。
*それでは、「野分」で高柳君がつまり漱石がきいたガーデのピアノ3重奏曲ヘ長調作品42を演奏してもらう。演奏者は先ほどと同じ。めったに演奏されない4楽章のロマン主義初期の作風の曲である。
 *千駄木で「野分」を書いた後、漱石は早稲田に引っ越す。「漱石山房」である。仕事も朝日新聞に移る。明治41年3月、漱石は寺田寅彦に書く。「日曜の音楽会に行きたい。新しい外套を着て待ち合わせ場所をお知らせ願いたい。「ホトトギス」原稿がかかりそう。前日までに出欠は連絡」。実際この年の3月22日の演奏会を寺田と聞きに行った。ユンケル、ベルクマイスター、幸田こうなどが演奏した。漱石は「セロ」に関心を抱いていた。前年10月来日したベルクマイスターを好んだせいかもしれない。
 *漱石は江戸っ子でおしゃれ、寺田は高知出身の田舎の人、服装の点では漱石から落第点をもらっていたと寺田は言う。当日の寺田の日記によると、昼食後、フロックコート姿の漱石を迎えに行って会場へ、最後のドヴォルザークのピアノ5重奏曲(イ長調、作品81)は大変な喝采だった。ここで、漱石と寺田が聴いたこの曲の4楽章全部を聴いてもらう。演奏はヴァイオリン岡山潔、服部芳子、ヴィオラ大野かおる、チェロ河野文昭。
 *漱石はさらに音楽好きが高じていく。明治42年に寺田に書く。「君の留守にピアノを買った」。代金400円は「三四郎」初版の印税で賄った。その後も漱石は寺田と何度も音楽会へ行った。二人は音楽を通じて結ばれていた。漱石の芸術観は「草枕」と「野分」によく表れている。漱石の子息、純一さんがヴァイオリニストになったのも漱石の音楽愛好と結びつく。
 *ピアニストのグレン・グールドは漱石、とくに「草枕」を愛好した。冒頭部分を繰り返し読み、書き込みもしていた。グールドは自分の思いを漱石と重ね合わせていたといえよう。
 この充実したセミナーは、グールドと縁の深い、バッハのフランス組曲からサラバンドを野田清隆氏が弾いて終了した。最後のあいさつで岡山氏が若いころ、オーケストラとあちこちで協演した時、コンサートマスターであった漱石のご長男、夏目純一さんにかわいがられて、よく夏目邸に遊びに行ったことなどを聴衆に披露した。(西谷晋記)
 
 

  「モーツァルトのピアノとヴァイオリンのためのソナタ」

      講師:小林道夫
   2013年2月11日(月)15時~18時。スタジオ・コンチェルティーノ。
 
 世界的なピアニストで、故ジェラルド・ムーアに並ぶ伴奏の名手といわれる小林道夫先生の第3回目のモーツアルト・セミナーである。
 
 最初の曲は変ロ長調K454のソナタで、受講生は東京芸大2年生の生熊茜さん(Pf)と同3年生の清水公望さん(Vn)。まず第1楽章ラルゴ・アレグロを通して演奏した。小林先生は「この曲は難しいですね」と感慨深げに言う。「ラルゴは少し遅すぎた。ラルゴは流れておればよいのだが、遅いとよく流れないことがある」「4分の4拍子だから四分音符を意識して引くように」「5小節目から新しいメロディが入ってくるが、さあ行くぞ、と力んではいけない、もうすこしさりげなく。ピアノはあまりクレッシェンドしないで。ヴァイオリンはレガート、ピアノはスタッカートがちゃんと出るように」。要約しても序奏だけでこれだけの注意である。二人は、先生の注意に熱心にうなずいて、演奏を重ねる。
 
 アレグロ部では「二人ともに固くならないように、もっと軽やかにPで進むこと。テンポが加速しないように。46小節あたり、ピアノは走らないこと、ヴァイオリンが入りにくいから。ヴァイオリンは品よく、音を押さないように」などの指摘があった。
 
 展開部では、ピアノの出だしについて「メロディだと思って弾きなさい」また「休止符にも意味があるのです」。再現部直前のところでは「次どうしようかモーツアルトが探っている趣があり、そのように演奏したい」と語った。
 
 第2楽章では、頻出するスフォルツァンドの扱いについて「手づかみするように演奏したい。スフォルツァンドは目立たせたいということだから、たっぷり音を取るといい」。また、音楽の進行の際、ヴァイオリンが上声部か、ピアノが上声部かをわきまえて演奏するようにとの忠告もあった。36小節以降のところのヴァイオリンとピアノの掛け合いの対照を際立たせるように、との発言もあった。
 小林先生の懇切な指導のため、時間切れで、第3楽章は部分的なレッスンにとどまったが、30小節のピアノは、力まないようにとの注意があった。また、58小節以降を弾かせたあと、「そうなるのではないかと」と笑いながら、「ここは音が合っているだけではだめなのであって、楽しく弾くように」とのアドヴァイスが印象に残った。
 
 休憩後、ソナタヘ長調K377のレッスンに移った。受講生は京都市立芸術大学大学院修了後、ウィーン音楽芸術大学を卒業した香取由夏さん(Pf)と東京芸術大学大学院修了後ウィーン音楽芸術大学留学中の瀧村依里さん(Vn)。
 
 第1楽章の始まりのところですかさず注意があった。「ペダルをあまり踏まないように。音が曇るきらいがある」。このほか「4つの下降音の3つ目が強すぎる。ピアノにやや緊張感が欠ける。テンポを安定させるように。ピアノは軽やかで楽しく、ロマン派的にならないように」。また、ヴァイオリンが3連音符を弾いているとき、その3連音符をピアニストは腕に感じながら弾いてほしいという意味深い指摘があった。さらに「提示部全体がひとつの弧をなしているから、それを頭において演奏してほしい」と語った。34から35小節が音符の数も多く、一番ダイナミックなところなので、ここに向かって弾くつもりで、との言葉もあった。ピアノは重くならずに、ややソプラノ的に、という面白い指摘もあった。展開部に入っても「ペダルが多くなった、ペダルを節約して」と注意された。このほか「下降の音型でのクレッシェンドはなるべくやらないこと。モーツァルトのような古典派音楽の場合、音楽の波のうねりを逆にしない方がよい」「モーツァルトの場合、書かれたものがそのまま音になるのが一番いいのではないだろうか」「基本に忠実に。それからいろいろ工夫を重ねるのはよい。初めからそれをやらない方がよい」など印象深い言葉があった。
 
 第2楽章の出だしのピアノの装飾音型を柔らかく弾くよう、実演して見せた。また「ピアノという楽器はスタッカートで音が短くなりすぎる傾向があるから、そうではなく、自然に音楽の流れがよくなるように」とも語った。78小節の変奏では、テンポが速すぎはしないか。前の変奏との調和をはかるように、と注意した。86小節あたりの演奏では、「羊羹みたいだ。もう少しフレーズの角を落としてごらん」また「安っぽい言い方だが、もう少しさびしい音楽を作ってくれる」などと語りかけた。
 
 フィナーレでは時間切れだが、「テーマを一息で弾くように」「細かい音符は細やかに演奏するように」などの注意があり、公開レッスンは終わった。
 
 休憩の後、コンサートに移り、小林道夫のピアノ、岡山潔のヴァイオリンで、モーツァルトの12の変奏曲K359とソナタ変ホ長調K380が演奏された。K359では各変奏がまさに変幻自在に展開されていく面白みを感じさせた。ソナタでは、堂々たるソナタ形式の第1楽章に続いて、哀愁と侘しさのこもったアンダンテ楽章、さらに春の到来を思わせる、しみじみとした喜びに満ちたフィナーレへ変転した。モーツアルトの輝きと高貴が見事に表現されたというほかはない。そして、アンコールとして、ディヴェルティメント第15番K287のアダージオ楽章のヴァイオリンとピアノのための編曲版が演奏された。うっとりと目を閉じて聞き惚れるご婦人の姿が、目の片隅に映った。短いながら余韻の残るコンサートとなった。
 
 最後に岡山潔TAMA音楽フォーラム代表から、小林道夫先生のモーツァルト・セミナーが大変な好評なので、もう一回の追加を予定しているという嬉しい知らせがあった。
(西谷晋記)
 
 
 

 「メンデルスゾーンのヴァイオリン・ソナタ」

講師 星野宏美
2013年3月9日(土)  スタジオ・コンチェルティーノ
 
「きょうの公開レッスンの課題曲は、メンデルスゾーンのヴァイオリン・ソナタ へ長調です。この曲が作られた1838年は、30歳になろうとしているメンデルスゾーンにとって、幸福な年でした。しかし、ほぼ同時期に作曲されたピアノ・トリオや弦楽四重奏曲(作品44の三曲)がまもなく出版されたのに、ヴァイオリン・ソナタはとうとう出版されないままでした。メンデルスゾーン自身、この曲について『不出来なソナタだ』ともらしてもいます。でも、はたして本当にそうなのでしょうか」。
メンデルスゾーン研究を専門とする立教大学教授、星野宏美さん(東京藝大音楽学部楽理科卒、同大学院修了)は、こんな問題提起から話し始めた。音楽学者として、「特に自筆譜の調査検証で国際的な評価を得ており」、ドイツの著名な楽譜出版社ベーレンライターから、メンデルスゾーンのヴァイオリン・ソナタ全集を校訂・出版している気鋭の研究者の問いかけは、この日の会場にずっと留まり続け、聴衆を絶えず刺激し、考えさせ続けた感がある。
 
公開レッスン一組目の清岡優子(Vn)、大野真由子(Pf)さんが、まず第一楽章を通して演奏する。いかにもメンデルスゾーンらしい溌剌たるピアノの序奏から始まる楽章は、輝かしく堂々としていて、「不出来」などとはとんでもない、というのが大方の聴衆の受け止め方だったように思えた。
 
「どうでしょうか、弾いてみて」との星野さんの質問に、清岡さん、大野さんからは「ちょっとくどい所がある」「はまってくると楽しい」などと率直な感想が返ってきた。ここで星野さんは、この曲にからむ「秘話」を披露してくれた。メンデルスゾーンは、ユダヤ系の出自のために第二次世界大戦の時期にナチス政権によってその作品が迫害され、演奏禁止などの措置を受けた。戦後になって、イギリスのヴァイオリニスト、ユーディ・メニューインがその復活に取り組んだ際、メンデルスゾーンが色々と苦労して書いてみて、走り書きして削除してしまった部分を、削除・短縮した形で演奏したことから、以後ずっと短い版が広く流布し、受け入れられることになった。
 
メンデルスゾーン生誕200年にあたる2009年を機に、改めてその作品が出版されるに際し、星野さんは削除部分を復元した新しい版を作った。さらに、この曲には冒頭部分などにも音域が大きく異なる改変があり、新しいベーレンライター版にはそうした細かい異同が、自筆譜を検討した上で書き添えられているという。
 
二人の演奏者がそうした改変・異同箇所を実際に弾き比べてみて、「ああ、弾きにくい」と感想をもらすのを聴けるのは、めったにない貴重な機会だろう。この辺りから、岡山潔・TAMA音楽フォーラム代表が加わって、「メンデルスゾーンの曲は、いつも気持ちがはやっている音楽なんだけど、符点はハネないほうがいいのでは」「第2主題の前に鐘が鳴るところ、もっとインテンポで鳴らしてもいいと思う」と、この曲を熟知する演奏家ならではの講評を矢継ぎ早に。続く第二楽章では、星野さんの「自筆譜を見ると、この楽章にはほとんど書き直しがないんです。気持ちのいい曲調で、歌いながら語っている感じですね」の言葉に応じて、岡山さんから「でも演奏はのっぺりしていて、ちょっと退屈だな。もっとおしゃべりをしてもいいのでは」と率直な指摘があった。
 
二組目の西川茉莉奈(Vn)、吉武優(Pf)さんは、演奏に先立って「(星野さん、岡山さんが)おっしゃっていたこと、すぐには出来ないんですけど」と弱気を漏らしたが、第一楽章を通奏した後の講評は「とてもきらびやかで、(メニューインが短縮した)コーダ部分も、短さを感じさせない盛り上がりでした」(星野さん)、「ベーレンライターの新版の楽譜をよく読み込んでいるな、と思いました。とくに符点の長さが的確だった」(岡山さん)と好意的。西川・吉武組はホッとした様子で、第二、第三楽章へと弾き進んだ。
 
第三楽章は、星野さんによれば「メンデルスゾーンは何度も書き直しており、もしかするとロンドの部分は切りたかったのかもしれない」のだそうで、ここでもメニューインは「35小節ほどカットしている」。さらに、最初は付いていた符点を取ってしまったり、スラーの記号を鉛筆で消した箇所がある、という。快活なこの楽章のテンポについて、岡山さんから「後半はいいテンポになったけれど、最初が速すぎたのでは」の指摘があり、演奏者はその都度、取った符点を付けて弾いたり、「あまり速すぎない、良いテンポで」弾き直したりした。
 
これより先、岡山さんは「楽譜の大切さ」について話してくれた。「演奏家にとって、頼れるのは楽譜だけなのです」という言葉は、当たり前といえば当たり前かもしれないが、この人の口から出ると千金の重みがある。楽譜をいかに読み込み、そこから何を、どのように表現していくか。その創造の現場を、しかも楽譜の校訂者が同席する場で実見できたこの日の聴衆は幸福だったと思う。
 
二時間以上に及んだ二組の公開レッスンが終わり、休憩の後は、山本美樹子さん(Vn)と奈良希愛さん(Pf)によるコンサートで、メンデルスゾーンのヴァイオリン・ソナタ ヘ短調(1823年)と、この日三度目となるへ長調ソナタが演奏された。弾く側としては、公開レッスンの直後にその課題曲をというのはさぞやりにくかったのでは、と思えるが、見事な演奏だった。とくに、十代の若者が書いたとは信じられないヘ短調ソナタを耳にして、改めてメンデルスゾーンがモーツァルト、シューベルトと肩を並べる天才だったことを実感しつつ、充実感と幸福感を抱いて帰途についたことだった。
(舟生 素一)
 
 
 

ライプツィヒ弦楽四重奏団 

5月12日のTAMA音楽フォーラム主催、ライプツィヒ弦楽四重奏団のレクチャーコンサートはスタジオ・コンチェルティーノに超満員の聴衆を迎えて、興味深いプログラムによる演奏が繰り広げられた。
 
 
 
プログラムは1.モーツァルトの弦楽四重奏曲K.458「狩」 2. J.ヴィトマンの弦楽四重奏曲第3番「狩」3. メンデルスゾーンのop.44-3 変ホ長調の3曲であったが、特に前半の2曲の「狩」は大きなコントラストを成し、演奏も緊張感漲る素晴らしいものであった。モーツァルトの有名な弦楽四重奏曲「狩」が生き生きと、そして深い情感を持って演奏された後、現代ドイツの作曲界を代表する一人、イョルク・ヴィトマンの弦楽四重奏曲第3番「狩」が紹介された(本邦初演?)。演奏の前にライプツィヒ・カルテットのメンバーによるレクチャーがあり、「これまで人間主導の社会に隷属していた動物たちの反抗、逆襲というストーリーの中に人間社会への痛烈な批判や風刺が込められている作品である。」との解説があった。曲の冒頭では人間たちが獲物を追いかける狩の楽しみを表す歓声で始まるが、次第に両者の関係が逆転し、最後には動物たちに追い詰められ、殺される人間の断末魔の叫びで終わる。その歓声や苦しみの悲鳴をヴィトマンは演奏者に実際に叫ばせるのである。このように表現手段が部分的にリアル過ぎたのには、いかさか驚かされたが、ライプツィヒ・カルテットはこの作品と正面から向き合い、作曲者と共に緻密なアプローチを積み重ねただけあって、説得力ある演奏となっていた。
 
 
 
後半のメンデルスゾーンは彼らの得意とするレパートリーであり、若さと情熱がほとばしり出るロマンの世界が鮮やかに描き出されていた。フィナーレのテンポはスピードが少し上がり過ぎたのが惜しまれたが、大変集中力のある見事な演奏でコンサートは締めくくられた。
 
 
TAMA音楽フォーラム 岡山 潔
 

2013年6月23日(日)  スタジオ・コンチェルティーノ  講師 野平一郎






 とりあえずヴァイオリニストとピアニストに限定するとして、二十一世紀を生きる演奏家(および演奏家を目指す若者たち)にとって、セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)の作品は、避けて通ることの出来ない必須のレパートリーになっているようだ。二曲のヴァイオリン・ソナタ、第6、7、8番のピアノ・ソナタ、さらにヴァイオリンとピアノのための複数の協奏曲などは、コンクールの課題曲、コンサートのプログラムとして既に定着した感がある。


 年に一回のペースでTAMA音楽フォーラムのセミナー&コンサートに組み込まれた野平一郎さん(東京藝大作曲科教授)による『二十世紀の作曲家シリーズ』が、第一回のプーランク、第二回のストラヴィンスキーに続いて今回プロコフィエフを取り上げたのは、聴く側にとっても納得のいく成り行きと言っていいだろう。そのヴァイオリン・ソナタ二曲(うち第2番は、原曲のフルート・ソナタを作曲者自身が改作したもの)は、中身の濃い、演奏者の意欲をかき立てる「二十世紀の古典」である。現に、この日の2組の受講者たちは、いかにも達者に、弾きなれた様子で第一番ヘ短調ソナタ Op.80を演奏してくれた。


 一組目の石井智大(Vn)、加藤美季(Pf)さんが東京藝大1年生の、2組目の三輪莉子(Vn)、秋山友貴(Pf)さんが同大3年生の、いずれも同級生デュオで、四つの楽章の前半を石井・加藤組が、後半を三輪・秋山組が弾く。このやり方は、聴く側もまったく退屈することがなく、緊張感を持続することが出来てよかったと思う。しかも、公開レッスンの後のコンサートでは、第1番よりよく知られた第2番ニ長調ソナタが、原曲のフルート・ソナタの形で演奏されるのだから、聴衆にとって(さらに受講者たちにとっても)まことに有意義な午後となった。
 前半(第一、第二楽章)では、とくに出だしの4小節について「レガートの、とっても暗い節だよね。最初からあんまりクリアーに弾き始めるより、むしろ手探りの感じで。最初の雰囲気作りが大切です」と指摘した後、野平さんはロシア音楽の特色について話を進めた。「ロシアの作曲家の作品では、暗さと明るさを常に意識してほしい」「プロコフィエフは、他の多くの芸術家と同様、ロシア革命時に出国したんだけれど、結局故郷に戻りたくなって帰国した人で、作風も根底にノスタルジーがあると思う」「二十世紀ロシアの3人の大作曲家、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィッチ、そしてプロコフィエフを比較してみると、とても興味深い。出国後ずっと帰国しなかったストラヴィンスキー、終生ロシアに留まり続けたショスタコーヴィッチ。そしてプロコフィエフは、機械(文明)礼讃の時代にありながら、どんどん作風が古典的になっていき、ノスタルジーに加えてロマンとリリシズムを持ち続けた人です」。


野平さんの講評は、さらに音色とニュアンスに及んだ。「ヴァイオリンとピアノがメロディーを受け継いでいく個所は、アーティキュレーションが同じなんだから、もっと両者が歩み寄って下さい」「きちんと弾けているんだから、緊張感を保って、曲想にふさわしい音色を見つけてほしい」「リズムはとても正確で、ちょっと『メトロノームおたく』なんじゃないかって気がする程なんだけど、たまにはリズムを逸脱しなければ。聴く人に、逸脱と対比を提示することも必要です」。


後半に移ると、野平さんの指摘はさらに細かく、多方面に渡って続いた。「前半の調性ヘ短調が、後半の第三、第四楽章ではへ長調に変ります。これはえらい違いで、へ長調の音楽は人間の肯定的側面を描いているんだと思う」「ただ普通にトレモロやってます、というのじゃなく、音色とハーモニーに神経を使ってほしい」「第四楽章のピチカートは、喜び、歓喜を表現して」。こうした指摘を受けて、何度も弾き直すうちに、どんどん演奏が変っていくのが分かる。「うん、だいぶ良くなってきました。さっきまでは、聴いていてうるさかったけど」。時に笑いをまじえながら、熱のこもった公開レッスンはたっぷり二時間近くに及んだ。


休憩の後のコンサートでは、何度も共演を重ねているフルートの佐久間由美子さんとピアノの野平さんがフルート・ソナタ ニ長調 Op.94で白熱した演奏を聴かせてくれた。このプロコフィエフの唯一の木管楽器のためのソナタは、名ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラッフの強い希望でヴァイオリン・ソナタに改作され人気を博すことになるのだが、このような名演に接すると、やはり原曲のほうが、という気になってしまう。そしてコンサートの最後は、それまで続いた緊張を解きほぐし、聴衆へのサービスともなる「名曲アルバムみたいな」(野平さんの言葉)アンコール・ピース2曲、チャイコフスキーの『なつかしい土地の思い出』より「メロディー」と、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」で締め括られた。


公開レッスンもコンサートも、中身の濃い充実した時間だった。さてこの後、次回野平さんが取り上げる作曲家は果して誰になるのだろうか。バルトーク、メシアン、あるいは新ウィーン楽派のシェーンベルク、ベルク、ウェーベルンあたりか。まことに勝手で無責任な憶測だが、いよいよ来年への期待はふくらむばかりである。
(舟生 素一)





ベートーヴェンのピアノ三重奏曲

2013年7月21日(日)  スタジオ・コンチェルティーノ
講師 植田 克己 (ピアニスト、東京藝術大学教授・音楽学部長)





 今月のセミナー・公開レッスンは昨年12月に続く「Beethoven ピアノ三重奏曲」の2回目で、受講曲はニ長調Op.70-1「幽霊」(第5番)と変ロ長調Op.97「大公」(第7番)。ともに、フランスの作家ロマン・ロラン(18661914年)がベートーヴェンの生涯のうち「傑作の森」と呼んだ時期の作品だ(セミナーでは作品番号Op.で表示し、ジャンル別番号は使っていないが、分かりやすくするため、第1回のレポート欄にジャンル別の番号順に並べたピアノ三重奏曲一覧を載せてあるので、ご参照ください)。「ベートーヴェンのピアノ三重奏曲 その1」のレポート


 第5番は1808年の作曲。交響曲第6番「田園」、同第5番「運命」に続いて完成した。この曲が「幽霊(Geister-Trio)」と呼ばれるようになったのは第2楽章の冒頭が不気味な感じだから、という説があるのだが、本当の理由は分かっていない。当時、ベートーヴェンがウィーンの邸宅に居候するなど、ずいぶんと世話になったアンナ=マリア・エルデーディ伯爵夫人(通称マリー、17791837年)に献呈された。第7番は1811年に作曲され、ベートーヴェンの弟子にして最大のパトロン、そして良き理解者でもあったルドルフ大公に献呈されたため、「大公(Erzherzog-Trio)」と呼ばれている。


ルドルフ大公(Rudolf Johannes Joseph Rainer, Erzherzog von Österreich 17881831年)はナポレオンに滅ぼされた神聖ローマ帝国の最後の皇帝フランツ2世(在位17921806年)の末弟で、ベートーヴェンより17歳年下だった。ピアノがうまく、1808年ころにベートーヴェンに弟子入りし、室内楽の作曲もした。ベートーヴェンはこの「大公」のほか、ピアノ協奏曲第4番、同第5番「皇帝」、ヴァイオリンソナタ第10番、ピアノソナタ第26番「告別」、同第29番「ハンマークラヴィーア」、同第32番、弦楽四重奏曲「大フーガ」、ミサソレムニスなど、合わせて14曲をルドルフ大公に献呈したという。いずれも傑作ばかりで、両者の深いつながりが感じられる。


 さて、肝心の公開レッスン。ともにベートーヴェン絶頂期の作品だけに演奏家にとっては難曲である。植田先生はこの日のレッスンを通じて、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの連携、協調に注意を払いながら、それぞれが自己主張するよう繰り返し促した。


一番手「幽霊」の受講生は阿曽有紗(Pf)、池田典子(Vn)、寺島志織(Vc)の国立音楽大学OGトリオ。第1楽章を通して聴いた後、植田先生は3人に「お互いの音がよく聞こえますか。3つの楽器が全部分かるように弾いて下さい」。次に少し場所を変えて耳を澄まし、「お互いが聴き合える音の重なりというものがある」「ベートーヴェンは断片を組み合わせることでは最高の達人、同じ音形を繰り返すのも得意中の得意でした。3者の受け渡しをうまく・・・」などと注文。さらに、「いまのは遠慮があり過ぎる。妥協のし過ぎという感じ。尊重しつつ自己主張を」と踏み込んだ指摘をされた。なるほど、「息のあったトリオ」と言われるようになるには、並大抵ではない修練が必要なのだろう。


植田先生が少し首をひねった。頭にある響きと受講生が出す響きに違和感があるらしい。先生が日ごろ使っている「ヘンレ版」に対し、受講生のは「ブライトコップフ版」。同じ楽曲でも版(校訂者)によって微妙な違いがあるわけだ。こんなところからも、難しさ、奥深さを感じとることが出来る。


「幽霊」について先生は「『運命』『田園』を書き終えた後、ベートーヴェンは曲の作り方を変えて極力コンパクトにした。そのかわりダイナミックの幅が広くなって息もつかせぬ、たいへん難しい曲になった」と解説。「ダイナミック、音の質、フレーズの受け継ぎを考えてやって下さい」「(ピアノの阿曽さんに)チェロが聞こえますか。いちばん大事なことは『敵』が何をやっているか耳で分かること。(チェロの寺島さんには)自分が主役だと思って弾いて下さい」「3人とも細かいところに必死になり過ぎない方がいいかも知れない」と付け加えた。


二番手「大公」の受講生は松田裕輔(Pf)、山本有紗(Vn)、高木俊彰(Vc)の東京藝術大学グループ。植田先生はピアノの松田さんの楽譜をめくる役を引き受けながら3人の演奏を聴く。「緊張していた点は同情しますが、率直に申し上げて(皆さんは)若いんだから、これだけの曲なのだから、もう少しファイトを燃やしてほしい」と、きつい第一声が飛び出した。ちょっとおとなし過ぎたようだ。


「『大公』と名がつくくらい雄大な曲です。ベートーヴェンがルドルフ大公という最大のパトロン、最大の理解者にささげたのがどうしてか考えて下さい。ハンマークラヴィーア、ミサソレムニス、皇帝など傑作中の傑作をささげている」と、技術面のほか、作品が生まれた背景にも心を配るよう注意を促した。「バレンボイムのまねをした」と“白状”したピアノの高木さんに「(私は)どんなに弾きにくいか分かっているのだけど、弦のテンポ感を受け継いでもらいたい。よく言えばメロディック、結果的には重くなっている」とひと言。


この日はけっこう暑かったが、聴講席はほぼ満員。楽譜を見ながら演奏を聴く聴講者が何人もいて、中には大型のタブレット端末で譜面を読んでいる姿も見受けられた。


コンサートはベートーヴェンのピアノ三重奏曲変ホ長調Op.70-2(第6番)。植田先生に玉井菜採・東京藝術大学准教授(Vn)、河野文昭・東京藝術大学教授(Vc)のお二人が加わった。朗々としたベートーヴェンが響きわたった。
(走尾 正敬)






 
 

後藤勇一郎の私季〜ジャンルの垣根を超えた表現力と即興、編曲の妙〜

講師 後藤 勇一郎

2013年8月18日(日)  スタジオ・コンチェルティーノ





今回は過去2年半の室内楽セミナーでもきわめてユニークな催しとなった。講師の後藤勇一郎は1990年に東京芸大を卒業後、ヴァイオリンのソロアーティストとして多彩な活動を続けてきた。それはクラッシックはじめジャズ、演歌などまさにジャンルを超えている。フォーラムの岡山潔代表の教え子であり、横浜での後藤の「私季コンサート」に感動した岡山がセミナーに招いたという。
きょうのプログラムは12曲からなり、ピアノは芸大大学院卒で現代音楽に積極的に取り組んでいる小池ちとせ武蔵野音大准教授が担当した。二人は20年来の協力関係にあるという。この12曲について、後藤がユーモアを交えた説明、解説をしながら、ヴァラエティーにとんだ演奏を繰り広げ、聴衆を楽しませ、音楽の持つ不思議な力と可能性を感じさせた。以下、12曲の後藤の解説と演奏の模様をごくかいつまんで報告する。なお12曲のうち第1~4、第6~8の7曲は後藤の編曲、第5曲は後藤のアレンジ、第9~12曲は後藤の作曲である。
1.

V.Monti作曲のチャルダッシュ。ジプシームードあふれる楽しいパロディ。
2.

A.C.Jobim作曲のWave。これはラテン的。以上の2曲は後藤の「私季」に入っている
3.

夏心。後藤の心シリーズで、夏の名曲を材料にしている。「夏の思い出」、ガーシュインの「サマータイム」はじめ、サザンオールスターズまで。
4.

秋心。ショパンの「木枯」練習曲、ベートーヴェンの「悲愴」、「エリゼのために」、童謡「紅葉」、山口ももえ「こすもす」と展開して、最後はラテンムードになる。
5.

アレンジ講座と称して、ベートーヴェンの「スプリングソナタ」第1楽章の冒頭を後藤は師匠の岡山に遠慮しながらオリジナル楽譜を演奏し、あとピアノがボサノヴァ、そのあとラテン風に展開、第2主題もオリジナルのあとタンゴ風、ジャズ風になり、聴衆を驚かせた。即興の大家ベートーヴェンもきっとこのような変容を認めたことだろう。
6.

赤とんぼ変奏曲。これにはストーリーがあり、田舎で生まれ、プロになったあるヴァイオリニストが世界を転々とし、社交場で、ルンバ、ジャズ、タンゴさらに象さんに変身、あとスペインで闘牛士となり、闘牛中に羽をもがれて、葬送、そして、想い出の赤とんぼ、復活の赤とんぼとなる。後藤の音楽の変奏の妙がここに示された。
---15分の休憩―――
7.

プログラム後半はヴァイオリン独奏、重奏に焦点があてられた。J.Kosmaの「枯葉」をJ.S.バッハの無伴奏パルティータ風に弾いた。
8.

ヴァイオリン2本でJ.Kernの「煙が目にしみる」を師の岡山潔を呼び出して共演、さらにヴァイオリン3本にしたものを服部芳子と3人で演奏し、聴衆を喜ばせた。まさに垣根を越えた楽しい演奏となった。
9.

後藤の「私季」から夏。ヴィヴァルディの「夏」をジャズ風に変容させた。後藤はこれをCDにしているが「それとは違う。わたしのは演奏ごとに違う。ここに即興的な良さがあるのでは」と断りを入れた。
10.Lazy Waltz やはり夏だが、これは少し不快な暑さのけだるいワルツ風、しかも前衛的な転回。
11.「私季」から秋。枯葉舞う秋、平明で美しいメロディーが流れていく。
12.Maple Waltz まさに秋の楓・紅葉の舞うワルツ。


 以上12曲のあと、アンコールとして、ホイットニー・ユーストンの小品「突然に」を
ヴァイオリンとピアノにアレンジしたものを弾き、ファンタジーあふれるセミナーを締め
くくった。
 後藤のこの日の解説の中で印象に残ったのは、「音楽のオリジナルがいいとはいえるが、
音楽にいろいろな視点があってもいいのではないか」「現代はアレンジがすごく重要な時代
になっている。その役割が大きくなっている。例えば、クラッシックのメロディーをアレ
ンジで楽しみに変えるのもいいではないか」などの言葉であった。
私的感想だが、後藤の音楽を聞きながら、日本の能でいう守・破・離を思い出していた。
守は型を学び身につけること。破は型をしっかり身につけたあと破ること。離は型にとらわれず、破も意識せず新しい世界を切り開くことである。東京芸大でヴァイオリンの守を身につけて以来の後藤のキャリアはこの守・破・離を実現してきたといえる。このプロセスのなかでの今後の成熟を期待したいと考えた。(西谷晋記)





J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲


2013年10月6日(日)  スタジオ・コンチェルティーノ 
講師 クラウス・カンギーサー (Prof. Claus Kanngiesser=チェリスト、ドイツ・ケルン音楽大学教授)







ヨハン・セバスティアン・バッハ(16851750年)の無伴奏チェロ組曲がこの室内楽セミナーで取り上げられるのは第6回(201110月、講師はドイツ・ライプツィヒ音楽大学のペーター・ヘル教授)に続いて2回目となる。今回の講師クラウス・カンギーサー教授(ケルン音楽大学)は室内楽での長年にわたる演奏活動に加え、ヴァイオリンの巨匠ユーディ・メニューインとの協演(ブラームスの二重協奏曲)、アンタル・ドラティ、ハンス・シュミット=イッセルシュテット、ピエール・デルヴォー、スタニスラフ・スクロバチェフスキーほかの名指揮者との協演といった経歴からもわかるように、ドイツを代表するチェロ奏者のひとり。演奏活動と並行して、1971年から40年以上にわたりザールブリュッケン音楽大学、ケルン音楽大学で後進の育成、指導に取り組んできた。現在、100人を超える教え子たちがドイツ内外の有名オーケストラで活躍中だ。


 セミナーの概要を報告する前に、バッハの無伴奏チェロ組曲について少し触れたい。作曲の時期は正確にはわかっていないが、中部ドイツ・ケーテンの宮廷楽長を務めていた時代(171723年)に大部分が作曲されたと考えられている。何のために、あるいは誰のために作曲されたかも不明で、自筆譜はなく、妻アンナ=マクダレーナの写譜が残っている。6つの組曲(第1~第6番、BWV=バッハの作品主題目録番号=10071012)からなり、そのひとつひとつが前奏曲と5つの舞曲(順にアルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット=ただし第3、第4番はブーレ、第5、第6番はガヴォット=、ジーグ)で構成されている。また、第1番はト長調、第2番はニ短調といったように、各組曲がひとつの調性で統一されているのも特徴。20世紀最高のチェロ奏者と言われるパブロ・カザルス(18761973年)が再発掘し、現在ではバッハの代表作のひとつとみなされている。


 この日のセミナーの受講生は東京藝術大学大学院修了の小畠幸法さん(受講曲は第1番ト長調)、東京藝術大学大学院およびウィーン音楽演劇大学大学院修了の加藤陽子さん(同第4番変ホ長調)のお二人。
 小畠さんが前奏曲と次のアルマンド(フランス語で「ドイツ風」という意味の舞曲)を弾く。先生は「前奏曲とアルマンドには大きな性格の違いがあります。前奏曲はもっと自由に。思い切って伸びやかに表現していかなくては」「アルマンドは舞曲なので、踊りのリズムをはっきり出して下さい。重心をかけた拍の後は軽く・・・」と、まず注文。さらに、演奏中の身体の動きについて「緊張と弛緩をからだでも表現しなければならない」「姿勢をきちんと保ち、習慣で首を前後に振らないように」「右肘を上下に動かさないで」などの注意があった。ヴィブラートについては「我々は近代のチェロ(楽器)で弾いているのだから、ヴィブラートをかけるなとは言わないが、惰性(習慣)でかける所とかけない所がパターン化しないように」との指摘があった。


 次いで加藤さんが第4番を弾く。カンギーサー先生は、今度はドイツ語で「シェーン(すばらしい)」。先生によると、第1番から第3番は技術面ではそう難しくないので、ケーテンの宮廷オーケストラの奏者でも弾けたのではないかという。「ヴァイオリンが名人芸を聴かせる楽器であるのに対し、チェロは低音を受け持つだけの楽器でしたが、バッハは後の3曲(第4番から第6番)で、チェロの様々な可能性を追求している。ただし、チェロの構造からして、第4番の変ホ長調はあまり演奏しやすくない調性です」と、この調性の難しさを説明する。「前奏曲では同じような音形が繰り返し繰り返し出てくるが、これらをどう理解し、組み立てて演奏すべきか、さらに研究が必要。」さらにサラバンドについて「バロック奏法については色々な人たちが、当時の演奏法を研究し、書き残しています。文法と同じで、それらを参考にして約束事に則って弾かなければならない。」加藤さんのサラバンドの演奏に対し、「実にすばらしい終わり方でした。」と締めくくった。


 後半のコンサートでは、第4番が取り上げられた。先生は終始、目を閉じて曲に集中している。セミナーの中で、「この6曲はチェロ奏者にとってバイブルのようなもので、一生をかけて取り組む曲であり、終わりはない」という趣旨の話をされたが、コンサートを聴いて、この曲がすっかり先生の血肉と化している印象を受けた。気合を入れて聴かないと味も素っ気もないただの練習曲のように感じたりするが、つぶやきであったり、快活な歌声であったり、深淵からの魂の叫びであったり、はたまた抽象の極みであったりなどと、多様な受け止め方ができるように思う。人間の声にもっとも近いとされるチェロの長所が十分に生かされた曲であり、演奏だった。
セミナーの日からしばらく後に、先生が2011年と翌12年に全曲録音したCDと、稀代の名演奏と言われるカザルスの戦前の録音(193639年)の中から同じ第4番を聴いてみた。録音の条件が違うので、比較は難しいが、①カザルスのは古い録音のため残響があまりないが、その中から生命感に満ちた力強さが伝わってくる。②カンギーサーのCDは整然として落ち着きがあり、豊かな響きが印象に残った。


 アンコールはハイドンやモーツァルトと同時代の作曲家でチェロの大家でもあったボッケリーニの「二つのヴァイオリンとチェロのためのトリオ・ハ長調」から、「メヌエット」と「ロンド」。カンギーサ先生は「ボッケリーニはチェロ奏者にとって非常に重要で偉大な存在です」とひとこと。二つのヴァイオリンは岡山潔・服部芳子夫妻が弾いた。先生とは夫妻が45年前にハンブルク音楽大学に留学中に知り合った同窓生の間柄とあって、相通じるものがあるのだろう。楽しいアンサンブルでセミナーは終わった。


(走尾 正敬)





 

モーツァルトのピアノとヴァイオリンのためのソナタ

2013年11月17日(日)  スタジオ・コンチェルティーノ 
講師 小林 道夫





 今日が大好評のうちに続いてきた小林道夫先生のモーツァルトのセミナーの最終回ですという岡山潔フォーラム代表のあいさつで小林先生が登場した。会場は若い学生と女性の姿が目立つ。
 公開レッスンはヴァイオリンソナタ変ロ長調K.378ではじまり、東京芸大2年生の斎藤澪緒さん(Vn)と同大学院生の松橋朋潤さん(Pf)が先生に促されて、全曲を演奏し、それから先生が口を開いた。
 「若々しく一所懸命やってくれた。ただ、大切なことがある。音楽にはいろいろなスタイルがあるが、いまの演奏は演奏様式の時代の目盛がすこし後ろにずれていたと思う。これは古典の音楽です。一つの曲は主和音―属和音―主和音に戻るように展開する。この中で色々な変化があるわけですが、お二人はどこも一生懸命で、どこが大切なのかがはっきりしない(つまり全体の見通しに欠ける)。この曲は変ロ長調だから、戦闘的音楽ではない。戦闘的にならず、アレグロモデラートとの指定通りに演奏してください」。
 先生の指導は具体的、細部にもわたったが、要点だけを書き記す。
 *モーツァルトは強弱に関して楽譜にフォルテとピアノしか書かないから、「フォルテはピアノではない」と考えた方がよい。
 *ピアニストのタッチについて、鍵盤をはねないで弾いてほしい。そこはリズムになってしまっている。もっと歌うように。
 *第1楽章の展開部はヘ短調になり、フラットが2つふえるので、もっと柔らかみがほしい。焦らないでゆったりと、少し遅くなってもいい、細かい音が歌の中に入っていってほしい。
 *装飾音は自然な音楽の流れの中で表現すればよい。
 *第2楽章で。3連音符で車が回るように流していく。歩いてください。思い入れを強くしないでさりげなく。もっと幅広い歌を歌ってください。
 *第3楽章で。出だしの装飾音符を強調しすぎるのは問題。かえって弾みを失う。もっと軽く、もっと指を立ててすぐ力を抜いて。腕に力が入りすぎているなど、ピアニストのタッチへの注意がここでもあった。
 *モーツアルトの下へ降りるスラーはひょっとすると溜息なのかもしれない。
 *自分は冷静に演奏して、客が興奮するというのがいいね。


 公開レッスンの2曲目はK.306のソナタ。東京芸大2年生仲間の三雲はるなさん(Vn)と反保沙季さん(Pf)が全曲を通して弾いた。
 小林先生は「とっても素晴らしいところが何か所もあった。ただ、ヴァイオリンが弾き過ぎているところがあった。ピアノは弾く前から肩で息をしていて無駄な動きがあるが、余計な動きをしない方がよい。音楽に自然な品格がでてくるし、80歳まで元気に弾こうと思うならそうしたほうがよい」と講評しながら、細部の指導に入った。要点だけを記しておく。
 *ピアノはペダルが多すぎる。左手の和音。モーツァルトのころの音楽には、E・フィッシャーが言うように、バスの音はなかった。小さなバス、ドイツ語の「ベスヒェン」があっただけ。それから、モーツァルトにはだいたいfとpしかない。ppはあるがffはない。あなたの演奏には何か所かffがあったね。
 *ピアノのタッチについての注意。手を柔らかにして、鍵盤に手が当たってから力を入れて弾くこと。手首に力を入れずに、弾く前から力を入れずに。
 *第1楽章の提示部はダウンもあればアップもある。もう少し楽しく弾いてほしい。ピアノは手をしゃくりすぎるところがある。最初の2小節と次の2小節とを同じに弾いているが、この2組をどのようなペアとして表現しようか。3拍目と4拍目を何もしないで弾いてごらん。もう少し自然な表現を。ピアノは肩に力が入っている。
 *第2楽章で。出だしのピアノは自然な表現で。ごつごつしないで。レガートで歌うように。流れを出して。
 *第3楽章で。頭のところは楽しい音楽にしてください。スタッカートではなくノンレガートで。バロック音楽で付点がついているところは均等に弾いてほしいということです。また、アウフタクトは軽く弾くのが普通です。
 *お二人ともよく勉強していて、音楽的です。ただ、しなくてもいいことはしない方がよい。これは経験の中で学んでいってほしい。大したことのないところで大騒ぎすることはありません。


 以上で公開レッスンは終わり、休憩の後、コンサートに移った。演奏はピアノ小林道夫、
ヴァイオリン岡山潔で、曲はモーツァルトの6つの変奏曲ト短調K.360。続いてヴァイオリンソナタ変ホ長調K.481。そして、アンコールとしてヴァイオリンソナタK.403の第1楽章が演奏された。
 専門家でも評論家でもない記録者は論評を避けるべきだが、演奏の現場にいたものとし
てひとこと付け加えたい。この二人の音楽家が長年の友情の中で得た音楽的親密さ、音の
バランスの良さ、精神性の高さがここに見事に実現していた。それはたとえば、K.360の憂愁に満ちたフランスの主題の変奏が5つ目で長調に変わりゆく微妙さ。K.481
の第2楽章アダージオの素晴らしく心こもったカンティレーナに現れていた。


(記録者 西谷晋)


ウィーン古典派の弦楽四重奏曲


2013年12月7日(土)  スタジオ・コンチェルティーノ 
講師 ヨハネス・マイスル





TAMA
音楽フォーラム第33回室内楽セミナーの記録
「ウィーン古典派の弦楽四重奏曲」
講 師:ヨハネス・マイスル(Prof. Johannes Meissl=ヴァイオリニスト、指揮者、ウィーン音楽演劇大学教授)
2013
127日(土)1518時 スタジオ・コンチェルティーノ



少し肌寒いが、晴天に恵まれた2013年最後のTAMA音楽フォーラム室内楽セミナーは「ウィーン古典派の弦楽四重奏曲」がテーマ。オーストリア出身のヴァイオリニスト、指揮者で、数多くの弦楽四重奏団を育ててきたウィーン音楽演劇大学のヨハネス・マイスル教授が講師をつとめた。岡山潔TAMA音楽フォーラム代表による紹介をうけて、スマイル先生は「ウィーン古典派のなかでもハイドンとベートーヴェンの作品を皆さんと研究できるのは喜ばしいことです」とあいさつした。


 ハイドン(18321809年)は交響曲、弦楽四重奏曲の父とされ、一時はベートーヴェン(17701827年)の師匠だったこともある(17923年ころ)。ベートーヴェンはモーツァルト(175691年)からも強く影響を受け、これらふたつの分野を飛躍的に発展させた。公開レッスンの受講曲に選ばれたのは順にベートーヴェンの弦楽四重奏曲変ロ長調Op.186(第6番)とハイドンの同じ変ロ長調Op.501。それぞれ1800年、1787年の作曲とされる。完成当時、交響曲第1番を初演するなど作曲家として売り出し中のベートーヴェンは29歳、ハンガリーの大貴族エステルハージ侯爵家に仕えていたハイドンは55歳くらいだったので、ハイドンの方がずっと 円熟していたと見ることができそうだ。
 ベートーヴェンのOp.181番から6番まであり、初期の作品群、つまり名実ともに古典派に属する。受講したのは平野悦子(Vn)、東山加奈子(Vn)、高橋梓(Va)、太田陽子(Vc)の皆さんが東京藝術大学在学中の2004年に結成したクァルテット・ソレイユ(Quartette Soleil)で、まず第1楽章を通して弾く。4人の前に坐って聴いていたマイスル先生は「とてもよく弾けたと思います」と前置きして、「ただ、少しマイルドでエレガントでした。変ロ長調の性格は肯定的であり、この楽章の本質はもっと喜びに溢れ、有頂天になるようなところにあるのでは、と作曲者の意図を指摘した。


レッスンが始まると先生は立ち上がり、からだ全体を動かして4人の演奏をリードする。「ベートーヴェンが盛り込んだ『話法』には、問と答、茶茶を入れる、人を惑わす、といったことがいっぱい詰まっています。これらをはっきり引き出して、もっと陽気に」「テンポをもう1目盛速くして」「フォルテピアノ(fp)のところは人が驚くように」といった具合に、譜面に則した厳しい注文が相次いで飛び出した。先生の指導は作曲者の意図、楽曲の解釈、意味づけに関することがらが主体だったが、それだけ4人の技術水準が高いということだろう。


 ハイドンの曲で受講したのは、やはり東京藝術大学で学んだ山本美樹子(Vn)、對馬哲男(Vn)、脇屋冴子(Va)、佐古健一(Vc)の4人によるクァルテット・フモレスケ(Quartett Humoreske)。2010年の結成で、メンバーが入れ替わっているが、東京藝術大学とウィーン音楽演劇大学がハイドンの弦楽四重奏曲全68曲をCDに録音した共同プロジェクト「ハイドン・トータル(haydn total)」(岡山代表とマイスル先生が双方のリーダー、200812年に録音)に参加、6曲を担当した。また、脇屋さんはウィーン音楽演劇大学大学院に留学し、マイスル先生から指導を受けた経験がある。


Op.50
は全部で6曲、プロイセン(プロシア)王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世に献呈されたので、「プロイセン四重奏曲」などと呼ばれることもある。クァルテット・フモレスケはまず第1楽章を通して演奏。「とてもよいと思います。ただ、2分の2拍子なのに4分の4拍子に聞こえる」「(チェロが4分音符を刻む冒頭の部分は)伴奏ではなく独立していて、これを含めたものが主題です。それが聴いている人にもちゃんと伝わるように。4人が会話しながらつくっていく面白さがあるところです」「慎重に構えたのでしょうが、もっと大胆に」などと、指示が飛んだ。先生によると、この楽章はハイドンがモーツァルトを強く意識して書いたという。4人が何回も繰り返し弾いているうちに、響きが生き生きとしてきた。再現部については「提示部のところと違って微妙に変化しているので、演奏者はどこが違い、作曲者が何を意図しているか理解しなければならない」と指摘する。そして、「ハイドンはダイナミックの違いを克明には書いていない。自分たちで思い切って打ち出していい」と説いた。


 第2楽章では、「ちょっと踊りのように聞こえる。ここはアダージョであって、アンダンテではありません。変ホ長調は格調が高く、弾む音楽ではない。皆さんの演奏は弾みすぎていて、本質から少しずれています」といった指摘があった。先生がかなり細かく注文をつけたところは、ハイドン流とかウィーンの伝統とかにかかわる点だろう。これらは文化とか感性の違いもあって、日本人には分かりにくいが、演奏家としては乗り越えなければならない壁のようなものかもしれない。


 この日、セミナーを聴講した皆さんはラッキーだった。休憩時間にドイツのクリスマス・ケーキ、シュトレンの味見ができたからだ。続いてコンサートに移ったが、いつもとは趣向が違った。レッスンで仕上げた「できたてのホヤホヤ」をコンサートで披露する初めての試みで、クァルテット・ソレイユ、クァルテット・フモレスケがそれぞれ受講曲を演奏した。正面に坐っていたマイスル先生と岡山代表が2階席に移動したためか、両クァルテットとも緊張が和らぎ、のびのびとした響きを奏でたように思った。今後の両クァルテットのさらなる発展を期待したい。
(走尾 正敬)







 

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